修・令和5年2月23日、西成活裕著の『とんでもなく役に立つ数学』という書籍を読破した。
西成活裕著の『とんでもなく役に立つ数学』という書籍はとんでもなく面白い書籍だった。数学の理論等をふんだんに紹介しながら実社会における諸問題の解決に数学が活用できることを教えてくれる。是非、高校生には読んでいただきたい一冊である。私も高校生の時、いきなり三角関数の授業が始まった時、これがどんなに有用なものなのかは分からなかった。高校で学ぶ「微分・積分」、「ベクトル」、「図形」、「三角関数」、「二次方程式」が、大学の数学における「代数」、「解析」、「幾何」に繋がっていること(41頁参照)。学習する上で、全体との位置を確認しながらや繋がりを把握しながら学ぶことは重要である。二次方程式が代数に、微分・積分、ベクトル、三角関数が解析に、ベクトル、図形が幾何に繋がっていることを意識することは、必要性を理解しながら勉強することなので、非常に有意義なことである(41頁参照)。この西成活裕著の『とんでもなく役に立つ数学』という書籍では、大学での数学との繋がりだけでなく、日常生活における現象を理解するためや様々な諸問題を解決するための数学の有用性をも例題を出しながら、とても分かりやすく教えてくれている。非常に丁寧に解説していて本当に良書でした。高校生時代にこの書籍を読めば数学への理解が深まり、興味も湧くと思う。
この西成活裕著の『とんでもなく役に立つ数学』という書籍は、とても分かりやすい書籍でありながら、きちんとたくさんの数学(物理も含め)の理論や用語等を紹介している。「仮説」、「コンジェクター」、「未解決問題」(38頁参照)、「ゲーム理論」(40・94頁参照)、「確率統計」「群論」(43頁参照)、「巡回置換」(46頁参照)、「同値類」(49頁参照)、「カオス」(58・111頁参照)、「確率」(59頁参照)、「ベイズ推定」、「事前確率」、「ベイズの公式」(65頁参照)、「微分・積分」(67頁参照)、「微分方程式」(68頁参照)、「運動の法則」(75頁参照)、「2階微分」(77頁参照)、「運動方程式」(79頁参照)、「作用」、「最小作用の原理」、「変分法」、「3階微分」(81頁参照)、「フックの法則」(86頁参照)、「三角関数」(88頁参照)、「ベッセル関数」(93頁参照)、「ナッシュ均衡」、「囚人のジレンマ」(95頁参照)、「パレート最適」(97・180頁参照)、「逆問題」(102頁参照)、「順問題」(103頁参照)、「インポーズド」(104頁参照)、「フーリエ変換」(105頁参照)、「ゲーデルの世界」、「不完全性定理」(106頁参照)、「自己言及」「数学基礎論」(107頁参照)、「組み合わせ爆発」、「箱詰めの問題」(108頁参照)、「場合の数」、「組み合わせ」、「非線形」(111頁参照)、「線形」、「ソリトン理論」(112・127頁参照)、「リアプノフ数」(115頁参照)、「セルオートマトン」(120・142頁参照)、「フィードバックループ」(121頁参照)、「指数関数」、「ネイピア数」、「共振現象」(123頁参照)、「数理科学」、「代数」、「解析」(126頁参照)、「ナビエストークス方程式」(129頁参照)、「弾性力学」(134頁参照)、「ズームインとズームアウトの思想」(137頁参照)。「スパゲッティ問題」(138頁参照)、「マシュー方程式」(141頁参照)、「ライフゲーム」(146頁参照)、「ボロノイ図」(150頁参照)、「相転移」(155頁参照)、「自由流」、「渋滞流」(157頁参照)、「場合分け」(161頁参照)、「群集心理学」(165頁参照)。「会衆」、「モップ」、「パニック」(166頁参照)、「フロアフィールドモデル」(168頁参照)、「トレードオフ」(177頁参照)、「複数目的最適化」(180頁参照)、「インセンティブ」(185頁参照)、「流量」(190頁参照)、「交通量(Q)=人口密度(ρ)×速度(V)」(194頁参照)、「線密度」(201頁参照)、「膨張波」(204頁参照)、「極値」(210頁参照)等々のたくさんの数学(物理や他の学問も含む)の理論、用語、方程式などが紹介されているにも関わらず、非常にスムーズに紹介されていて、読む過程で容易に受け入れられる素晴らしい書籍である。
西成活裕著の『とんでもなく役に立つ数学』という書籍の中で私が興味を惹いた記述を挙げてみる。まず、体の中を調べる医療機器の超音波・エコーの仕組みは逆問題と関係し、フーリエ変換を活用している(105頁参照)。この活用は、MRIも同様にフーリエ変換を利用して画像を作っている(真野勇著『図説MRI』 143頁参照)。本書の中で渋滞を考える上で活用した「相転移」。相転移というのは、ある相が、別の相に移る現象のことで、相というのは、固相(固体)、液相(液体)、気相(気体)と3つあります。全ての物質には3つの相があり、それが温度によって変わる(155頁参照)。この相転移に関しては、私が、以前、読破した清水博著『生命を捉えなおす』という書籍でも紹介されている。(清水博著『生命を捉えなおす』 30頁参照)。ちなみに「超臨界流体」という状態もある。次に、本書では著者が「振動経済」を提唱していた(226頁参照)が、経済学においても、景気の波があるのは知られている。一口に景気の波といっても、周期の長いものから短いものまで、色々あることが分かっている。その景気の波には、ジュグラー・サイクル(主循環)、キチン・サイクル(小循環)、コンドラチェフ長波、建設循環などの種類がある(『ゼミナール・日本経済入門(第十版)』日本経済新聞社編 53頁参照)。
また、著者は、数学の限界をも認識していて、「ゲーデルの世界」のような論理が破綻しているものには適用が難しい(105頁参照)。また、非線形のカオスに関しても適用が困難である(111頁参照)。私が、以前、E・ヤンツ著『自己組織化する宇宙』やI・プリゴジン著『混沌からの秩序』などの書籍を読破した際、頻繁にこの「非線形」と「カオス(混沌)」という用語が使用されていた。複雑系の特徴で、人間社会は多大に複雑系なのである。非線形も「カオス」と「ソリトン」に分けることができ、「ソリトン」には数学が利用できる(112頁参照)。
加えて、大学において文系だからと言って、数学を全く使用しないわけではありません。特に経済学は、メンガー等の“限界革命”によって、微分によって経済現象を分析するようになっている(松原隆一郎著『経済学の名著30』 154頁参照)。私が、以前、経済学の名著であるケインズ著『雇用、利子および貨幣の一般理論』を読破した際、頻繁に微分の式が記載されていた(ケインズは学生時代に数学を専攻していて、『確率論』という論文も記載している。ただ、ケインズは経済学における数学の限界も認識していた)。文系も数学が必要な学科があることを覚えていた方がよいだろう。
しかし、読む本、読む本、下品な排泄物に関する記載が必ずある。まるで、三十年以上も、朝から晩まで、四六時中、私に黙って、陰でこそこそと勝手に私の家をのぞき、ストーカーしている卑怯者の寄生虫連中が私が読んでいることを知って、本を差し替えているように思える。
著者曰く、数学ぜんぶをパンパンになるほど覚えなくても、三角関数、指数関数、微分を知っていれば、かなりのところまでいけます。私たちが最先端の研究をする時でも最初にイメージするのは、ほとんどこの3つくらいですから。イメージを持って数式を増やしていって、後は必要に応じて自分で広げていけるといい。ただ丸暗記するのではなく、ストーリーで因果関係を捉えることである(123頁参照)。私がこの西成活裕著の『とんでもなく役に立つ数学』という書籍を読破して、微分、ソリトン理論、セルオートマトンが特に重要だと思った。真に現象を理解するためのツールとして、微分、ソリトン理論、セルオートマトンを使いこなせれば実社会でも様々な課題を解決できるのではないかと思う。
最後に、問題解決にあたり、①対象を絞り込み、何が問題かを考える、②仮定する、仮説を立てる、③問題点を定量化することが重要である(175頁参照)。そして、人生は「トレードオフ」だといえる(177頁参照)。トレードオフな関係にある問題を解決するにはパレート最適を求めることが重要となる(180頁参照)。