ではもう一冊、お勧めの書籍を紹介する。それは吉川洋氏著の『いまこそ、ケインズとシュンペータに学べ | 松陰のブログ

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ではもう一冊、お勧めの書籍を紹介する。それは吉川洋氏著の『いまこそ、ケインズとシュンペータに学べ』という書籍です。対照的なケインズとシュンペータ。性格も対照的。穏やかなシュンペータに対して、ケインズは気性が激しい。ドップがケインズにマルクスの『資本論』を渡した時のエピソード。ケインズは借りた『資本論』を読まず、「少しばかり読みかけたが、あんなくだらんことをゴテゴテ書いたものが読めるか」と言ってつき返したそう(吉川洋氏著『いまこそ、ケインズとシュンペータに学べ』 217頁参照)。ケインズらしいと思った(笑)。吉川洋氏は書籍の中で、シュンペータの文章がまわりくどいと指摘(吉川洋氏著『いまこそ、ケインズとシュンペータに学べ』 217頁参照176頁参照)。シュンペータがケインズほどに大衆へ受け入れられなかった理由に、この文章のまずさを挙げています。この箇所を読むと、吉川洋氏はあまりシュンペータを評価していないのかなと感じました。私はケインズの『雇用、利子および貨幣の一般理論』を読破しましたが、確かにケインズは美人コンテストやギリシャ神話のミダス王、蜂の寓話などの例を出して的確な文章で表現をしていたように思えます。しかし、誤解しないで下さい。ケインズの『一般理論』は経済学者の中でも難解な書籍と言われています。『いまこそ、ケインズとシュンペータに学べ』の中でも吉川洋氏は『一般理論』は難解な書籍だと評しています(吉川洋氏著『いまこそ、ケインズとシュンペータに学べ』 217頁参照143頁参照)。私も読んでいて難しいと感じました。経済学の百科全書を知り尽くしたシュンペータと経済学を高等文官試験の時だけ勉強したケインズ。経済学との関わり方も対照的。水と油のように言われていますが、私も吉川洋氏と同様にケインズとシュンペータは両立する理論だと思っています。有効需要に関する考え方が違うと書かれていますが、時系列に展開したのがシュンペータ、経済状況における理論を展開したのがケインズのように思えます。有効需要は重要であり、シュンペータのイノベーションも有効需要創造のためのプロセスのように思います。経済学におけるミクロ経済とマクロ経済の対峙など、経済学の変遷なども分かる上、特に人間・ケインズと人間・シュンペータを知ることのできる、とても面白い書籍でした。