山田克哉著の『アインシュタインの発見』という書籍を紹介する。 とても面白い書籍でした。兎角、物 | 松陰のブログ

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山田克哉著の『アインシュタインの発見』という書籍を紹介する。

とても面白い書籍でした。兎角、物理学の書籍は難解なものに成りがちですが、とても丁寧に平易に記載されていて、理解しやすかったです。この書籍が分かりやすい理由は、端寄らないことです。理論や事象の繋がりをひとつひとつ書いてありました(ただし、この記載方法は、この書籍だから成り立つものであり、例えば、E・ヤンツの『自己組織化する宇宙』等のような包括的な概念を説明しようとする書籍や論文において、学者の理論や事象をひとつひとつ細かすぎるように書くのは、書籍の趣旨に反し、著者の伝えたい概念をなかなか伝えられないもどかしさを与えたり、無意味な記述を増やすだけになります)。例えば、太陽電池の仕組みについての説明。どんな物体でも膨大な数の原子からできています。一個の原子にはその中心に核があり、その周りにいくつかの電子が回っています。電子はマイナスの電荷を持ち、核の中にはプラスの電荷を持ついくつかの陽子が入っています。電子と核との間には電気引力が働き、電子のまわりから逃げることがきません。電子は原子の中で束縛されています。

 金属内では、各原子から一個の電子が電気引力の束縛から離れて、自由に振舞えるようになっています。原子内でのその一番外側を回っている電子は核による束縛が緩いので、比較的簡単にその束縛を断ち切ることができます。このような自由に振舞える電子を自由電子(量子力学においては「伝導電子」)と言います。自由電子はマイナスの電荷を持っています。光はエネルギーを持っています。光を金属に当てると光は金属内に入り込み、光のエネルギーをもらい受けた自由電子が金属の外に飛び出してきます。この現象を「光電効果」と言います。太陽電池の仕組みを伝えるための概略図。中が真空になっているガラス管に、二つの電極AとBが設置されています。AとBは電気的に中性です。ガラス管には、一箇所穴の開いた不透明な布が被せてあります。光はこの窓を通してしかガラス管内に入り込めず、電極Aだけに光が当たるようになっています。

 電極Aは金属だから光が当たると光電効果が起こります。電極Aから多数の電子が飛び出します。飛び出た電子はスピードを持っているので、反対側の電極Bの方に向かって走ります。電子を失った電極Aはプラスに帯電します。電極Bは電極Aから飛び出た電子(マイナスの電荷)を受け取るので、電極Bはマイナス過剰になります。電極Aというプラスと電極Bというマイナスの電極が出来れば、回路の中で電気が流れます(水が高いところから低いところに流れるように、電流も高い電位<プラス>から低い電位<マイナス>に向かって流れます)。そして、太陽光を使っているため、半永久的な電池となるのです。

 このように光電効果という現象と理論に対して具体例を挙げて詳しく説明しています。どうしてそうなるのかを端寄らずにひとつひとつ関係性を明らかにしながら丁寧に記載しています。アインシュタインの一般相対性理論、特殊相対性理論、宇宙定数に関しても、このように丁寧に記載され、理論と事象との関係が把握しやすく、とても面白く読めました。アインシュタインの難解な世界をこれだけ分かりやすく説明できるのですから私は筆者を尊敬してしまいます。

 アインシュタインの理論で興味をひいたのが、相対性理論における「時間」と「空間」の概念。四次元時空のことです。「時空が曲がる」「時間が遅れ、空間が縮む」と言うことに興味を持ちました。時間というものは相対的なもので絶対的なものは存在しません。時速50キロで走っている車Aと同じ方向に時速80キロで走っている車Bがあるとします。Aの運転手から見れば、車Bの速度は30キロ(80-50=30)で走っていることになり、Bの運転手から見れば、車Aの速度は後方に向かって30キロ(-30キロ)(50-80=-30)で走っていることになります。動いている物の速度とは観測者によって異なった値を示します。しかし、光の速度は一定です。光の速度は絶対で観測者がどのように動いていようが光の速度は不変なのです。特殊相対性理論の「光速度不変の公理」です。Aの運転手もBの運転手も光は同じ速度(光の真空中での速度は秒速30万キロメートル)に見えるのです。80-50=30や50-80=-30の計算がないわけですから、光速度不変の公理から当然、時間の遅れは起こるのです。興味深く、面白い話です。また、エネルギー準位における、エネルギーが低い核に近い軌道は安定していて、核から遠のく、外側のエネルギーの高い軌道ほど、不安定になり、電子は機会があれば安定化しようとすると記述を読み、人間社会との類似性を感じました。人間も安定化しようとします。さらに、連続化するマクロの世界と「飛び飛びに変化(量子力学の法則)」するミクロの世界。量子力学の世界も興味深いものでした。私は、色々な分野の書籍を読み、多様な知識を吸収し、知識と知識との相互作用の中でさらに高い次元の進化をしていきたいと思います。