今年の東京ミネラルショー、通称、池袋ショーはフロアがさらに拡大されるなど大盛況でした。が、化石販売ブース、特に古生代モノはジリ貧かつ円安の影響で信じられない値上がりをしていたため、4年ぶりの参戦でしたが、あえなく敗走してきました。
ここ何年かの不参加又は収穫なしの年は、ネット購入で心の隙間を埋めてきており、今年もその年となってしまいました。
小さくて見栄えがしませんが、こう見えて希少な化石標本です。その名もエオアンドロメダ(Eoandromeda)という謎の生物です。
若干印象がはっきりとしませんが、中心から8本の腕のようなものが放射状かつとぐろを巻くようにねじれて伸びている様子が確認でき、確かに渦巻銀河であるアンドロメダ大星雲を思わせます。
さて、エオアンドロメダは今から5億8千万年から5億5千万年前のエディアカラ紀の地層、湖北省西部の豆山沱層(Doushantuo Formation)から産出された生物化石です。
ちなみにこれはWikipediaから引用した画像で、写真は南オーストラリアのエディアカラ丘陵で発見された標本です。当初は化石かどうかすら判明しなかったところ、豆山沱層モノの成分分析をした結果、生物ということが判明しました。
動物説がやや優勢ですが、藻類説を含めて何の生物かは全くわかっていません。腕はすべての化石標本でとぐろを巻いていますので、自由に動かせるものではなく、イラストのように固定されていたのでしょう。
カンブリア紀には爆発的に生命が多様化するのですが、その前夜であるエディアカラ紀の生物化石は非常に単純形状のものしか発見されていません。また、骨格を持たないことから化石化することは原則ないものであり、理論上はさらに時代を遡るとされているとはいえ、現在、目視可能な最古の多細胞生物がエディアカラ生物群です。
ちなみに、エディアカラの有名な産地としてロシア、ウクライナ、ノルウェー、カナダ、アフリカのナミビアなどがありますが、エオアンドロメダはオーストラリアと中国でしか産出されていません。かつ、他の種も含めてオーストラリアモノが市場に出回ることは非常に稀で、かつ悶絶するほど高価です。
中国モノは、入手の機会は多くないものの、何の化石なのか判然としない標本を中心にヤフオクでも定期的に販売されています。ただ、価格の相場感があってないような産地で、結構ばらつきがあります。
自分の記憶だと、過去に中国産のエオアンドロメダの完全体が2千ドル程度で販売されていましたが、今回入手した標本は元々そそる見栄えがない不完全体であることもあって大分安かったです。
とはいえ、えっ!と言ってしまう価格ではあります。他の人からすれば、薄汚い石ころにそんな額払って…という感じでしょうね。
ただし、エオアンドロメダのぬいぐるみもあるようですので、化石ファンでなくとも、わずかながら分かっていただける方もいるかも。
まるでアンドロメダ銀河のような素敵な古代生物、エオアンドロメダ
— ぬいぐるみのTSTADVANCE【公式】 (@tst_advance) 2020年6月27日
オーストラリアと中国で発見されているため、昔はこの2国が近い位置にあったのではないかと考えられています
グルグル部分は全て腕です!何かと便利かも?#TST #tstadvance #エオアンドロメダ #Eoandromeda #ぬいぐるみ #古代生物 pic.twitter.com/SgOSKlCUZj
それでは良いお年をお迎えください。