ジュニアテニス備忘録(2)ジュニアテニスをやらせるメリット | 柵飯事2~shigaramimamagoto ~

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 前回は,いきなりジュニアテニスのデメリットを書いてしまいましたが,これは行き過ぎた支援をされている親御さんが相当数いるのを見てきたからです。財産の多くを投げうって小さなお子さんとともに海外移住をしてテニスに専念させたものの…といった例や,戦績の不甲斐なさを指導しすぎてお子さんがぐれてしまった例等々。それぞれの家庭にはそれぞれの教育方針があることから,外野がとやかく言う話ではないのは分かっているのですが,我が家の価値観で言えば,人生をかけるような支援や競技をやってこのような残念な結末となってしまっては,多くの親が願う子どもの独り立ちするスキルの向上には役立っていない,と評価できる例をいくつか知っています。要はバランス感覚を持って見守ることが大切なのだろうとは思いますが,では我が息子がどうだったかと振り返ると,親としては,競技をやめてもらいたかった気持ちと,続けてよかった気持ちが,半々といったところでした。
 今回は,反省的振り返りの意味を込めて,我が息子に限っての競技テニスの世界にいたメリットを書きます。
 
1 特徴
 まずはじめに我が息子の特徴を説明しますと,一言で言えば,発達障害のある明るく変わっている子,ということです。障害レベルはそれほどでもないですが,ADD(注意欠陥障害)です。情報処理速度的には問題ないのですが,情報処理量に制限があり,視野が狭く,大局的に物事をとらえられない,計画性がなく場当たり的な行動をする,すぐに忘れてしまう,といったような特徴があります。そう,クレーバーさや忍耐強さが求められるテニスにはもっとも不向きなタイプと思えるのです。同じ発達系でもASD(昔のアスペルガー等)で活躍したお子さんを承知していますが,うまくいかないと修正できずに混乱してしまうタイプの人は一番勝てないですよね。
2 当初
 私自身はいわゆる運動神経がある方だと自認していまして,若いころはテニス競技をしていました(ただし,ケガであっけなく退出。)。一方,息子さんは小学校の頃はお調子者で,思慮浅い欲求のまま行動する子供で,授業中は立ち歩くし,ランドセルは家に忘れて登校するなどの,クラスに一人はいる変わっているおもしろい子と評価されていました(残念ながら今も同じです。)。本人の希望で幼稚園の頃からテニススクールに通っていましたが,あくまでもお遊び,そこそこうまかったのですが,コーチが勧めても競技には何ら関心を示さない子でした。お調子者ということでクラスの強者からはいじめられていた模様です。
3 競技開始当初
 お遊びテニスはだらだらやっていたのですが,息子さんにとって非常に悔しい出来事があり,その悔しさの勢いで,選手コースのあるテニスクラブに転籍しました。私自身は自宅からかなり離れていたので,正直気が進まなかったのですが,本人のやる気に押されて入会させることとしました。その後もお調子者の状況は変わらず,クラブでもふざけてばかりいて,見ていて腹が立つくらいでした。それもあって,なかなか選手クラスには上げてもらえずにいたのですが,コーチたちの指導のかいもあって,若干真面目にやるようになっていきます。はじめは,試合中にパニックや癇癪を起こして全く勝てませんでしたが,周囲のお子さんに恵まれ,また,クラスのいじめっ子からも距離を置くことができ,徐々に自信が持てるようになっていったようです。
3 その後
 勝てませんでした。ADDの特徴であるメンタルの不安定さと,ピンチになるとすぐにパニックになるのがその原因でした。相手が弱いとそれに合わせてダラダラとラリーをし,強い子が相手だと見違えるようにガンガン打つのですが,結局,いずれも競り負ける。マッチ練習では全国レベルの子にもそれなりに勝てることからすれば,私としては,元来の特徴があるなかでは,この子は試合に勝つようにならないことは,早くから察することができました。息子さんは快楽主義者ですから,負けても無反省で,楽しい打ち合いを毎日したいけれども,試合に勝つ努力はできない。したがって,勝てない競技と学業のバランスをどう教育していくか,あるいは,学業でも落ちこぼれた際にどん底まで落ちないようにする方策(落ちても這い上がれる人とそうでない人がいますが,息子さんは100%後者でしたので。)を親がシュミレーションするということをやるようになりました。
4 メリット
 勝てない選手でしたが,レッスンのおかげで学校では運動が得意な生徒となり,また,持ち前の能天気さから全国レベルの選手たちと仲良くなるなどして,中学校以降は明らかに自信が持てるようになりました。マッチ練習ではそこそこ楽しくできていることもあって,それも自信につながったといえばそうなのでしょう。社交性がさらに高まったということと,おどおどした感じがなくなった点,というかこれだけが競技をやらせて良かったと思える点です。
 テニス競技をしているお子さんで,これはひどいというのもいますが(大学競技部で上位の者で本当に悪い奴を何人か聞いています。),基本的には良い子が多いです。テニスは試合となれば誰でも敵ですが,コートを離れれば個人競技なのでチーム競技と違って利害関係がないですし,相当な負担をして支援をする家庭,いわば良いところのお子さんたちですので,おそらく意地悪な子は少ない方だと思います。息子はとにかく感情の制御ができず,ラケットを投げつけるなど試合中の態度は良くないのですが,試合が終わると他の子たちは彼に良くしてくれました。本当に感謝しています。
 
続く