利休道歌と花見 | 渋谷 茶道教室「松濤庵」

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渋谷 茶道教室、松濤庵のブログ。季節に合わせた本格的なお道具を使用して稽古いたします。男性、お年を召した方、全くの未経験者も歓迎いたします。

利休道歌は千利休の教えを百首の歌にわかりやすくしたものです。利休百首とも呼ばれます。但し、利休居士がご自分で作られたのではなく、利休居士の教えを聞書きしたものを元に後々に江戸時代に作られたそうです。裏千家の今日庵の中の咄々斎(とつとつさい)という広間

の反古襖(ほごふすま)には、十一代玄々斎精中(げんげんさいせいちゅう)が点前のこと、道具の扱いなどを書かれており、その最後に利休道歌がびっしりと書かれています。今日庵にお伺いした際に、反古襖を何度か拝見したことがありますが、整然と美しく書かれた教えを拝見する度に、身が引き締まる思いで見入ってしまいました。現在、咄々斎は修復中なので残念ながら実物を拝見することはできませんが、数年後には修復完了し、また拝見できるのを楽しみにしております。

 

この利休道歌の中に、次のような歌があります。

 

花見よりかへりの人に茶の湯せば 花鳥の絵をも花も置きまじ

 

 

 

お花見に行って本物の美しい桜をめでた人にとっては、床の間に生けられた桜の花も花鳥の掛軸も、見劣りするのは当たり前のことです。そのため、桜の季節に桜の花を茶席の床の間にかざることはありません。同様な理由で桜の模様の茶碗や棗などの茶道具を使うことは、桜の花の盛りには勧められないそうです。しかしながら、桜の花が咲いた喜びを道具や着物に表現したいのは人の気持ちとしては仕方ないと思います。私も今の季節しか着れないと、淡いピンク色の着物にお気に入りの桜の帯を合わせて喜んで着ています。

 

 

 

裏千家今日庵の隣の本法寺の桜も満開でした。春うららかなお天気の中、京都の桜を静かに楽しめたことを感謝しています。