
暑すぎて死ぬる方もおられると聞く。
高校野球ですら途中で一服する始末で、僕が少年の頃とは気候も世論も根本的に違うのだろう。
「30度を超えたら真夏日」と言っていた頃が懐かしい。
親父と妹と買い物から帰ってくると愛犬が死んでいた。
愛犬と言うほど愛してはいなかったが、18年も一緒に過ごしていた親父の落胆は大変なもので、ひとしきり泣いた後に重機を使いみかん畑の隅に大きな穴を掘り、埋めた。線香を上げながら、近ければいつでも行けるから、と言う親父の精神状態や体調の変化を案じずにはいられなかった。
僕は18歳で実家を出たので、頻繁に帰っているとは言え親父にとっては僕より犬と過ごした期間が長く、かつて心臓の大きな手術をした際には僕らには何も言わなかったが、犬には「サヨナラかも知れん」と言って病院に向かっていた。
生活の場であった土間を片付け、掃除をすると、がらん、とした雰囲気がより寂しさを増した。
反面、やれやれ、と言う気分も大きい。
もし親父や妹や自分が重度な介助のうえ死んだとしたら、同じような気分になるのだろうか。
正直なところではあるだろうが、それも正直寂しいなぁと思うのであった。