N分N乗方式で子供がいるとどれだけ節税になるか | 少子化対策を考えるブログ

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勉強しながら対策案を考えます。

昨日はN分N乗方式の説明をしました。今日は、N分N乗方式に乗り換えると子供が多い家庭でどれだけ節税になるか、計算してみました。

現在日本で課税されている所得税の税率は、財務省のページに示されています。

N分N乗方式が導入されれば当然税率も変更されると予想されますが、今日のところは税率が変わらない、と仮定して計算してみました。

下のグラフは、横軸に総所得を、縦軸に税金の額を示しています。一番上の青い線が一人暮らしの場合。真ん中のオレンジ色の線が、所得ゼロの配偶者(専業主夫/婦)がいる場合(2分2乗)。下の緑色の線が、所得ゼロの配偶者と子供3人がいる場合です(5分5乗)。共働きの計算もできますが、ここでは示しません。




まず、線が全体的に右に上がりであることに気づきます。直線的ではなく、曲線的にものすごい勢いで上がっていきます。これが累進税率の効果です。

そして、オレンジ線と緑の線の差が子供がいることによって下がる税額になります。金額は所得が多い人ほど大きいことがわかります。つまり、所得が多い人では税制変更による恩恵が大きいのですが、所得が少ない人では恩恵があまり大きくない、ということです。

所得の少ない人の恩恵がよりわかりやすくなるよう、税金額を対数軸にしてみました。



所得が低すぎると、子供が増えても税率が下がらないので納税額が変わりません。恩恵が少ないのです。

また、青の線とオレンジの線の差が大きいことがわかります。結婚して片方が専業主夫/婦であると、それだけで大きな節税になります。このあたりが「専業主婦を助長している」という批判を受けるのだろうと思います。

税制による優遇は、「引き算を減らす」ということで、もともと税金を払っている額が少ない人には、どうがんばっても恩恵が小さくなります。少子化対策としての効果は限定的であるような気がします。