45. 代位登記 | 司法書士試験 受験知識の復習

司法書士試験 受験知識の復習

司法書士試験合格から数年。
実務に出た後、もう一度受験知識を復習するメモ。
特に受験時代に手薄だった条文を確認する。

不登法→育休中に体系的に復習。
商登法→育休明けに実務で必要になった条文を復習していきます!

45-1. 代位登記とは


代位登記とは、債権者が自己の債権を保全するため、民法423条の規定により、債務者の有する登記申請権を代位行使して登記を申請したものをいう。


債権者は代理人としてではなく、自己の名において登記を申請する。

(すなわち債権者が申請人となる)


(代位登記の要件)

① 被保全債権の存在

② 保全の必要性

(登記請求権の場合、必ずしも無資力は要件とされない。「無資力」又は「○○名義にしないと自分の登記ができない」)

③ 権利者に代位すること(原則)



45-2. 代位登記申請手続


(登記に記録される事項)

通常の登記事項に加え、「代位者」「代位原因」が登記される。


(申請情報)

「申請人が代位者である旨」「代位原因」を記載し、「被代位者の氏名・住所」も記載する。


目的 所有権移転

原因 平成25年5月5日売買

権利者(被代位者) A

代位者     

代位原因  平成26年1月1日売買の所有権移転登記請求権

義務者     B

添付書類  登記原因証明情報、Bの登記識別情報、Bの印鑑証明書

        代位原因証書、 とBの委任状


(代位原因)

債権者が債務者に対して有する被保全債権の発生原因事実。登記実務では「○○登記請求権」の形式が多い。


例:年月日売買の所有権移転登記請求権

年月日設定の抵当権設定登記請求権

年月日金銭消費貸借に基づく金銭債権



45-3. 代位登記注意点


登記識別情報は通知されない!

(登記申請人自らが登記名義人となる場合でないから) 参考→


登記完了証は、代位債権者と登記義務者に通知される。

(代位者が申請人だから通知あり。被代位者は申請人でないから通知なし。) 参考→


※民法423条※(債権者代位権

1項 債権者 は、自己の債権を保全するため、債務者  に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。

2項 債権者は、その債権の期限 が到来しない間は、裁判上の代位 によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。



※不登法59条7号※(権利に関する登記の登記事項)

権利に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。

七号  民法第423条 その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請した者(以下「代位者」という。)があるときは、当該代位者の氏名又は名称及び住所並びに代位原因 


※不登令3条4号※(申請情報)

1項 登記の申請をする場合に登記所に提供しなければならない法第18条申請情報の内容は、次に掲げる事項とする。
四号   w:民法 (明治29年法律第89号)第423条 その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請するときは、申請人が代位者である旨、当該他人の氏名又は名称及び住所並びに代位原因


※不登令7条1項3号※(添付情報)

1項 登記の申請をする場合には、次に掲げる情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。
三号  民法第423条 その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請するときは、代位原因を証する情報