汝(なんじ)、右頬を打たれたら、左頬はよけようぜ | 魔法の言霊――寿詞(よごと)説法師が贈る人生のヒント

魔法の言霊――寿詞(よごと)説法師が贈る人生のヒント

おめでとうございます!

『魔法の言霊(東方出版刊)』の著者・橘月尚龍です。
ボクが、この本を上梓したのが2002年――
それから世には同様の表現があふれて玉石混合で、
わけ分からん状態になってます。

そこで本家としてのメッセージを発信することにしました。

 ことほどさように……あなたの歓びも苦しみも結局は、あなたと「だれか」の関係性から生じることを分かってもらえたかな?
 こういうと「生老病死は自分自身のことだ」と反論があるかも知れない。う~ん、たしかに……でも、それは(お釈迦さまもいうように)人生というゲームの基本設定だから、どうしようもない。
 だから変更不可の基本設定を除くなら、人間社会において、あなたの歓びも苦しみも「だれか」がもたらすものといえるだろう。

 はてさて、引用だ――

―――――――――――――――――――――――――――――

 ……前略……

 まずは、あなたの周りのひとについて思い浮かべてみてほしい。

 ……中略……

 そこで、あなたに好意的なひとや良好な関係にあるひと(あなたが感じているという基準――自分勝手でいい)は、ひとまず棚にあげる。だって、その存在は(いまのところ)問題じゃないからね。

 するとイヤなヤツが残るだろう。もちろんそのひとには、イヤなところも、いいところもあるだろう。でも、あなたにとって、いまはイヤなところが勝(まさ)っているから、やっぱイヤなヤツなんだ。

 頑固でこちらの気持ちを分かってくれないオヤジ、勝手気ままで時々ヒステリーを起こすオカン、自分の都合を押しつけてくる恋人、わがまま娘にひきこもり息子、セクハラ上司にパワハラ取引先、わきまえることを知らない近所の広報係オバハン……などなど。

 むかつくよね、腹が立つよね。殴ってやりたいよね、法律がなかったら殺してやりたいと思うほどかも知れない。あのヤロー、いてまうぞ! である。
 いいねえ……あなたのこころをそれほどかき乱すというのは、いま旬の極上「ネタ」ということだ。あくまで、この「いま」ということを忘れないでね。

 そこで質問である。
 いまここで、苦しんでいるのはだれだい?

 はい、そのとおり――だれでもない「あなた」なんだ。

 さらに質問だ。
 その苦しむことをやめたいかい?

 ……中略……

 じゃあ、やめたら?
 以上。

 こういうとあなたは「アイツのせいで、それができないから苦しんどるんじゃあ。尚龍、おまえはボケかあ!」というかも知れない。さらに「それを解決できるかと思って、この本を買ったのにペテンやんけ」とボクをののしりたい気分になるだろう。
 やったね。あなたの矛先は、ボクにも向いてくれた。ボクもいまここで見事にあなたを悩ます旬の「ネタ」に格上げだ。あなたの人生の登場人物となったわけである。

 でもね。ボクは痛くも痒くもない。
 あなたがいかに苦しもうとも、ボクは苦しくないんだよ。

 別にケンカを売っているわけじゃない。事実をいったまでのこと。
 そしてこのことは、あなたを苦しめている人物も基本的にはいっしょなんだ。あなたがいかに苦しもうとも、その苦しみを理解することはない。
 だって、あなたの苦しみの度合なんて、あなた以外に分かりようがないもの。もっというなら、あなたが苦しんでいることすら知らないことがほとんどだ。知らないということは、どこまでいっても……やっぱ分からないわけである。

 ということは、この世で、あなたの苦しみやつらさを知っているのは、あなただけということ。ほら、やっぱあなたが主人公でしょ。そして、あなたで完結してる。「絶対的一者」だし「天上天下唯我独尊」ってことさ。
 さらにいうなら――たしかにアイツが原因かも知れないが、それが分かるのもあなただけだ。ならば分かってるあなたしか、苦しみを手放すことはできない。

 だからボクは「イヤだったら、やめたら?」としかいえないわけ。

 その言葉に「そうだなあ」と思うのも、歯向かってくるのも、あなた側の都合。すなわち、あなたの勝手なんだ。
 アイツのせい……というのは、そのまま「世の中のせい」といっているのと同じ。いってもしかたがない。これまでずっと述べてきたよう、そういう設定になっているんだもん。アイツはあなたに対して、そんな振る舞いをするようにセットされている。
 そして設定は変更できない。

 ……中略……

 じゃあ、どんな風にやめるのか?
 ただ、やめればいい。

 う~ん、分かりにくいか。じゃあ「無視する」といおう。
 苦しみを無視するのだ。たしかにその瞬間は「うっ!」となるかも知れない。でもすぐに「なかったことにする」のである。ていうか、そんなものハナからないのだ。あなたが感じているのは所詮「あなたの感じ」に過ぎない。
 で、学習する。相手が攻撃してきても、身をかわせばいい。だって一発目は受けて立って苦しんだんだから、つぎはよければいい。
 それで空振りした相手がひっくり返って、転(コ)けてしまっても、あなたには関係ない。ソイツがいかに痛がり、苦しんだとしても、あなたは痛くも痒くもない。相手のことなんて分かりようがない。

 唯一、分かるのは「自分はセーフ」ということだけだ。
 でもって、ひっくりコケてるソイツを見物してやれ。どうだ、面白いだろう。ざまあ見ろだ。それこそゲームの最高の「ネタ」じゃないか。
 そのうえで、あなたが救いの手を差し伸べるのか、それとも無視をつづけるのか、それ以外の対応をするのかは……その時点で、あなたが決めればいいんだ。
 それが主人公ってもんだぜ。

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 なぜだか「大変だ」とか「苦しい」「悩ましい」といってるひとを見ると、同じ「だれか」か、同じ「(だれかは違っても)なにか」で苦痛を受けているんだよ。ウソだと思ったら、よ~く観察してごらん。
 ねっ!
 自分が観察する側になったら、よく分かるのに……自分が当事者になったら、なかなか分からない。これまた、そないな設定になってるわけ。
 でも、こちらの設定のほうは努力次第で(変更は無理にしても)ちがう視座から観察できる能力がセットされている。だったら、その能力を発揮しようよ……ねえ。