危険な成功実現セミナー | 魔法の言霊――寿詞(よごと)説法師が贈る人生のヒント

魔法の言霊――寿詞(よごと)説法師が贈る人生のヒント

おめでとうございます!

『魔法の言霊(東方出版刊)』の著者・橘月尚龍です。
ボクが、この本を上梓したのが2002年――
それから世には同様の表現があふれて玉石混合で、
わけ分からん状態になってます。

そこで本家としてのメッセージを発信することにしました。

 前回の『危険な聖地巡り』に関連して、いまや花盛り(「狂い咲き」かな?)状態にある「成功実現セミナー」についても警告を発しておこう。
 別名では「自己実現セミナー」だとか「自己啓発講座」「成功法則……」「人生変革……」といった具合に似通った表現をしている場合も多い。また権威づけのためか――コーチングだとかメンタリング、フレーミングなんて横文字の時もある。
 あなただって、いちどくらいは参加したことがあるだろう?


 まあ、ボクだって『ほしの宴』の一環として「あなたを成功体質にする……」なんてセミナーや講座をやっているので、見た目はいっしょかも知れない。そんな――まっただ中にいるボクがいうのだから……ある意味、内部告発でもある。
 というのも、ボクのセミナーや講座に参加されるかたに他のそれでキズを負った被害者がけっこう多いのだ。そいでリハビリからはじめないといけないので、ボクも往生しているのが本音なんだわ。


 またまた著書『ごめんね、でも愛してるよ! ―「鬱(うつ)」から大切なひとを救うため、あなたができる魔法(こと)―』から引用しよう。


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 もうひとつ――鬱で苦しむ大切なひとを自己啓発や自己実現の講座に連れていったり、いかせたりすることも……この処方箋では禁止だ。
 もちろんボクは、これらの講座を軽んずるものでも否定するものでもない。素敵なものも少なくない。さらに講師についても、素晴らしいひとも多くいらっしゃる。

 でも、やはり禁止だ。
 このような講座に参加するひとの思いは「自分を見つめ直したい」「夢を実現したい」「役立つ自分になりたい」という高邁なものから「お金を儲けたい」「恋人がほしい」「結婚したい」というものまで……さまざまである。つまり共通することは、あくまで自分の都合であり、願望充足のためなのだ。
 このこと自体は健全な欲望であるから、ボクは否定しないが、そのフィールドは――そんなひとびとの「思い」に満たされる。ある意味、生霊(いきりょう)が充満するわけ。そんなところに鬱で弱って抵抗力のない大切なひとを放り込んだらどうなる?

 また、こんな欲望を持ってやってくるひとは、周波数の合う「助けてくれ組」を担いでくることも少なくない。そして「助けてくれ組」はいつも獲物を探している。大切なひとが餌食にならないという保証はどこにもないのだ。

 さらに――いかに素晴らしい講師であったとしても……残念ながらボクは、雰囲気を洗浄できるひとに出会ったことがほとんどない。このことについては、これらの講座のベースとなっているコーチングだとかメンタリング、フレーミング……などの大半が海外からもたらされたものであるため、そこに霊的なアプローチが(すべてとはいわないが)欠如していることは、致しかたがないともいえる。
 だから、このような空間に鬱で苦しむ大切なひとを曝すことは控えよう。


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 分かる?
 このようなセミナーや講座の受講者のほとんどは「いまの自分がイヤ」「貧乏から脱出したい」「玉の輿に乗りたい」といった具合に本人が我欲丸出しの「助けてくれ組」なんだ。そらあ当然、悪霊どもと周波数が合ってしまう。
 だから受講前は背中が軽かったのに――ほかのひとが連れてきた「助けてくれ組」を背負って帰るハメにもなりかねない。これは危険だ。


 さらにセミナーや講座の主催側に問題があることもある。こちらは現在執筆中の『非責任のススメ ―思うがままの人生を送る魔法の生きかた―(仮題)』から、その部分を引用しよう。


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 巷(ちまた)では、色々なセミナーや講座、ワークショップが花盛りだ。最近は、資格や趣味だけでなく、自己実現だとか能力開発に関するものが爆発的に増えている。やれ「コーチングだ」「メンタリングだ」「フレーミングだ」とかいって、なんかスゴイことのように喧伝しているところも少なくない。
 さらには、なんだか怪しい新興宗教の勧誘っぽいものまである。まあ、この本だって……それっぽいから、あんまり偉そうなことはいえないけどね(笑)。妖しの世界だ(大笑)。


 ここで断っておくけど――ボクは、これらのセミナーや講座をけっして否定するものではない。まあ、中には「洗脳して、ぼったくり」という悪辣な連中もいるけど……たいていは、真面目に一所懸命に取り組んでいるし、そのメソッド(手法)もなかなかのものである。だって、先人のノウハウの結晶だもの、ね。

 だけどこれまた、そのほとんどが、まちがいを犯している部分がある。そのため、せっかくのメソッドも、さっぱりワヤ状態だ。う~ん、まちがいというのは語弊があるかも知れないなあ。彼らは「それが正しい」と思い込んで……信じて、やっているため、かえって受講者の不幸を増大させていることも多いとボクはいいたいわけ。


 だからここでは「本書の主旨とは、残念ながら相反する」といっておこう。まあ、どちらに賛成するかは、あなたの勝手だけど……

 ボクが「ちがってる」ということ。それは「恐怖」の増大である。ひとびとの恐怖を煽って、集客を謀っている感じだ。

 この手のセミナーや講座の案内には、だいたいつぎのようなキャッチコピーが並ぶ。


 自己実現のために
 いまの自分を変える
 夢や希望を実現しよう
 生き甲斐を発見する
 目的意識を持って生きる
 人生の目標設定をする
 ……などなどだ。


 でもね。これを同じ意味で、別の表現に置き換えると――


 あなたはまだ本物じゃないよ
 いまのあなたはダメな存在
 あなたの欲望は充足されていない
 することがないなら生きてる意味がない
 なにかしないといけない
 苦しいゴールを目指すことが大切
 ……となるわけ。


 どうだい? けっこうキツイだろ。
 まるで、生き甲斐がなかったり、目的のない人生はペケポン。日々をそれなりに暮らしているだけじゃダメで、実現すべき「なにか」をもっていないと、人間失格という印象である。なんか「いまの自分を脅されている」ように感じるのはボクだけだろうか?


 ……後略……


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 いかがかな、こころ当たりはないかい?
 どういうことかというと――これらのセミナーや講座の大半は「いまの自分を否定する」ことからスタートしている。でも、いくら否定されたところで現状は、それ以上でも以下でもない。それで受講者は身もだえして、やがてセミナー中毒になってしまう。まさしく「助けてくれ組」路線まっしぐらだ。


 でもって弱った受講者に「あなたが変わるためには、友人知人親戚縁者をこのセミナーに誘いましょう」ってささやくわけさ。つまりセミナー仲間を増やすことが、あたかも「自分の人生を変える」かの如く思わすわけ。正味、タダで勧誘を手伝ってくれる営業マンを育成する手法。これをセミナー中毒×洗脳勧誘員と呼ばずして、なんと呼ぶ?
 まるでヤバイ新興宗教やマルチ商法・悪徳商法の手口といっしょだ。これで(洗脳)セミナー主催者側は「囲い込み」による顧客の固定化と「新規獲得」の営業戦略で商売安泰って寸法ということ。


 ボク? ボクだっていうよ「よかったら友人知人親戚縁者を『ほしの宴』に誘ってね」って。でも根本的なちがいがある。ヤバ系のそれでは、受講者自身の「自分が(自分勝手な思いで)よくなりたい」というエゴ充足の行為だ。でもボクは枕詞(まくらことば)に「あなたの腑に落ちたなら……」をつけるようにしている。
 つまり「自分がインスパイア(能動的な霊感)を受けたので、あのひとにも教えてあげよう」という愛の発露でないといけない。ぶっちゃけ「あの映画、すっごく良かったので、あんたも観にいってみたら?」と基本的に同じ。それは相手を思う親切であって、先のようなエゴなんてどこにも存在しない。


 話を戻そう。
 このように――成功実現(自己啓発など)セミナーには危険がある。ヤバ系は論外としても、良心的(だと思い込んでいる)なところにも……。なぜなら受講者が連れてきた「助けてくれ組」が、こっちがいいや! と、ほかの受講者に取り憑くのは、なかなか阻止できるものじゃないからね。


 ボクんとこは大丈夫かって? う~ん、絶対とはいい切れないけど……いままでで問題は発生していない。なぜかというと――ボクのセミナーや講座では、とっとと卒業して『ほしの宴』の仲間になってもらうことを目指してる。
 だってさ。参加者をセミナー中毒にして、お金を搾り取り――洗脳勧誘員にして、骨の髄までしゃぶったところで、それでおしまいだ。また悪霊天国(地獄かな?)を支配するなんて、こっちが悪魔に魂を売って鬼畜にならないとできない。これは、しんどい。なまけ者で恐がりで軟弱なボクには「そんなん、やってらんない。勘弁してよ」の世界だ。
 それよか、ちゃっちゃと卒業してもらって――いっしょに楽しいほうの宴を共有したり、ともに具体的な活動をするほうが、いいに決まってるからね。すると悪霊どもは「ここは、どうも地獄仲間を開拓するには不向きだ」となるみたい。


 だから――
・いまの自分を否定するところがスタートになってる
・エゴ我欲丸出しの参加者が「助けてくれ組」を背負ってくる
・主催者が雰囲気を洗浄するノウハウを持っていない
・本来の目的である「卒業」を先延ばしにする
・納得してないのに紹介者(勧誘者)になれという
・ほかのセミナー被害者に対する(こころの)ケアの用意がない
・やめたくても、やめさせてくれない
 ……等々の成功実現セミナーや講座には、くれぐれも注意が必要だ。