安倍派の裏金問題と壊れていた統治機構

 

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「企業人が実態を通し他人(=従業員、取引先、顧客等)を背負い、順法でも実態遊離は「赤字」のチェックを受ける。一方為政者が背負うのは自分(=当選)だけ。順法なら全て免責」と言ってきました。

 

我々も「安倍派の裏金」について、騒いでいますが(それに対してどう向き合うかは後述9の通りとして)、そのお金自体は、直接に我々の懐から出たお金ではありません。言わば彼らの営業努力で、彼らが稼いだお金です。

おそらく、多くの我々は「安倍式集金株式会社の株を一度も買ったことがない」ということではないでしょうか。

極端な言い方をすれば「株主でない我々がどこまで文句が言えるのか」という気がしないでもない。

ことが起こる度に後追いで「法をいじり、一安心」。これの繰り返しです(※後述1)。

これが果たして「治世」と言えるかどうかと言う気がします。

 

「為政者が背負うのは自分(=当選)」だけ。「順法なら全て免責」。

ですから、いくら「法」をいじっても、「法」を「悪行のルールブック」として利用する人が、必ず出てくるに違いありません。

何故なら民主主義の正義=多数決」。つまり、我々は「民主主義の正義=多数決」以外選ぶ術がないということです(これに異論のある方は「人間カメラ36枚撮り論」←「選挙で投票用紙に、孫(ソフトバンク)さん、三木谷(楽天)さんと書こう勝手連2―(3) 投稿日 2022・ 6・10を参照してください)。

 

お金に関し、政治家にクリーンさを求めるなら、なぜ「共産党」が政権党にならないのでしょう?。

これって「我々の不思議」と思いませんか。

もし共産党が政権党になったら、日本がロシアや、中国になる?。それはないと思います。何故か。再三言ってきたように「同国内では『ラベルの違う瓶』はあっても『中身の違う瓶』などない」からです。

 

「『日本銀行の機能と業務』(日本銀行金融研究所、有斐閣)、『詳細 銀行法』(小山嘉昭著、金融財政事情研究会)を読む限り、法は「切った張ったはしない」という意味で「日銀は金融の素人たれ」と言っています。けれど長に選ばれた人は山気たっぷり、ギンギラギンの人。

  このことからして、安倍政権は都合よろしく、法の精神を無視したまま事を進めていく。

 従って安倍政権にとって法の改正の必要性などなく、法は水みたいなもの。どんな形にも変形できるもの、として扱われています(←2015年3月6日記)」。つまり、安倍派の「裏金問題(に限らず「安倍式桜を見る会」、「布マスクの購入」等々)」は、必然の帰結でもあるのです。

その間「我々は安倍政権の何を見ていたというのでしょう」?

 退任後の安倍内閣支持率は、20~30代で70%半ば。さらに最近の調査で歴代総理の好感度で安倍さんは第2位。

 これが、「民主主義国家日本」の「実像」です。だから、 安倍政権の最長は「民主主義国家日本」で「起こるべきにして起こった最長」にすぎません。

 少なくと「今日の安倍派の政治家像」を予見できたはずなのに「我々は何も見えていなかった」。

 政治家をあれこれ、あげつらっても何も変えられない。むしろ、自分の不明を自覚することから始めるべきだと思います。

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 「民主主義国家」ですから「我々が変わらなければ何も変わらない」。

だから「政治家に総ての責めを負わせるのは間違い」とも言えます。

その通りですが、それも少し違うかもしれません。

 政治家はむしろ「主婦と同じ」と思っています。「足の踏み入れる先々に、処理すべき用事が待ち構えている」というわけです。

これは我々も同じかも知れません。「我々の目先には、処理すべき生活の諸事が待ち構えている」からです。

 では、世直しの水先案内人は誰なのか?

 既述の通り、それは、学者先生等、物を作らなくても給料のもらえる方々、つまり「自由人」の役目だと思っています。

 とは言え、いまは「小田実」さんは日本のどこにも見当たりません。ひょっとして、いまの学者先生方等は、政治家と同じく「順法なら全て免責」ですから、仮想空間を遊泳できるため、宇宙人か、AIになってしまわれたのかも知れません(2023年12月12日 神戸新聞朝刊参照)。

世間は、裏金問題で、政治家への風当たりを強めているようですが、私は「日本の凋落は自由人の凋落(※後述2)」(「ジャニーズ事務所から見える日本の景色」参照)だと思っています。

 ふるさと納税は、元々「胡散臭い」と思っていったので、興味がありませんでした。

 しかし、やっばり、胡散臭くありませんか。

①    2023/8/1 -総務省によると、2022年度のふるさと納税の総額が9654億円。前年度より1351億円(16・3%)増加し、3年連続で過去最高を更新したという 。

②    寄付金額が控除上限額を超えた分は、基本的に全額自己負担となるので、自己負担額が2,000円以上にならないように、控除上限額を確認する必要がある。

③    ふるさと納税の過度な返礼品競争を防ぐため、10月1日から、自治体が寄付を募るのに使う経費を寄付額の5以下とするルールが厳格化された。

 これって、どう考えても、おかしくありませんか。

 納税経費は5割までOK。

  

 つまり「約1兆円」のうち「5000億」しか使えない。

 乱暴な、たとえ話をすると「24年度112兆円の内、国債費と徴税経費5割で実質約31兆円しか使えない」というわけです。

 日本の官僚ではなく「政治家」、そして「我々」。どっちもどっち。チョボチョボ。

 「政治家の裏金問題? 何をか言わんや」です。

 やっぱり、日本の統治機構は、我々を含め、壊れていたのです。

 

   では「いつ壊れていたのか」はわかりませんが、村上(誠一郎)さんが「官僚機構を壊した。国賊だ」と気づかれた時、と言うこ  とでいいのではないかと思っています。

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 一方万博についてのお金の膨張は、5年で5億どころの話ではありません。しかも、多くは我々の懐から出るお金で、それは営業努力ではなく権力で集められたお金です。つまり、我々は否応なく株主になっているのです。

 そのお金の使われ方が「予定外になってもワシャ知らん」でもお縄にならない。

正しく「順法なら全て免責」そのものです。

それでも、裏金ほどの騒ぎとなっていない。

これって「へんてこりん」と思いませんか?

5 

 「安倍さんから肉声を聞いたことがない。谷垣禎一さんは『全部肉声だな』と感じるけれど、安倍さんからは未だかって一度もそう感じたことがありません。その意味においても、これまたとても珍しい人です。是非、教科書通り(※後述3)でない肉声を聞かせて欲しいものです(2015年3月6日記)」。

肉声のない結果がどう結実するのか。

 上記の「民主主義の正義=多数決」に関して言えば、我々は「国会の決め事」の上で生活をしています。そして、その国会を支配するのは「多数」。その「多数のど真ん中」を占拠しているのが「与党」。そして、その与党の、さらにど真ん中を占めるのが「安倍派の1.8倍の179名」。つまり、国会議員で最も大切な「自分の当選=票」に絡む「異国のカルト教団」が「日本国の国会のど真ん中に鎮座していた」ということです。

 これは「裏金問題」の比ではありません。「組織的関係はなかった」で済ませる話でもありません。私にとって、物心ついて以来の「日本憲政史上最大の出来事」です。

 わが日本国は、気が付けば「異国のカルト教団」の上に立っていたのです。

この件に関して、安倍さんは少なくとも「無関係」とは言えないと思います。

 更に、裏金問題の比ではないもう一つの負の遺産は、日銀のところで述べたように、

国債依存症から立ち直れないことです。

 もう何十年も前、私は「国の借金は国民一人当たり600万円か。だったら我が家は2400万円寄付すればいい。まあ何とかなるのでそれでもいいか」と思ったことがあります。しかし、そう考えるのを、すぐやめました。「今年はそれでいいとしても、日本さんは、来年からまた借金生活を続けはる。ほっとくしか仕方がないか」と思ったからです。

この件に関しても、安倍さんは少なくとも「無関係」とは言えないと思います。

 以上のように「裏金問題」は「壊れていた統治機構」の表出でもあると思います。

  既述のように、阪神淡路大震災後の変質は元に戻せないと思っています。

 

順法でも赤字と言う実相で生きている企業人の方々。

戦争を頭で考えるのではなく、やはり実害として即跳ね返ってくる企業人の方々。

郭台銘さんは「企業家による政治の時代に入った」と言われた。

まとまったものとして実在するのは企業群。

つまり「壊れていた統治機構」に代わるのは「『企業連合国家』で『統治』をする」のが一番「現実的」だということです。

 

 私は「改革などない」という考えの持ち主です(※後述4)。

孫(ソフトバンク)さん、三木谷(楽天)さんはコロナ禍の当初よりウイルスを追っかけられた。

だから体制の中で「出来ること」をすればいいと思っています。

その積み重ねで新たな道が出来、皆が「その道へと舵を切ろう」となれば、それはそれでいいと思っています。

若い人が「112兆の予算決定」と聞いて「何かアクションを起こした」という報道はないようです。しかし、「企業連合国家」で、企業が普通に取り組むように「国債を別管理にする」と言うことを「遊び」でいいので、若い人は、是非検討してほしい。

「総ては若い人が、総てを背負わなければならない問題」だからです。

「大人がどうのこうの」、「若い人の考えを取り入れるべき」などと「寝言」を言っている暇はありません。「我が事」としてぜひ取組んでみて下さい。

ところで、「企業連合国家」の行動基準を何にするか。

既述ですが小久保新監督がおっしゃった「美意識に適う行為」をもって「法」に臨めばよいと思っています。そうしておれば「心の曇りは我が美意識に反する」とその都度、自分で修正しながら進めたはずです。

 プロ野球の世界は、免責のない「実相以外許されない世界」です。

 その世界だからこそ「たどり着かれた行動基準」かなと思っています。

 「実相に生きてこそたどり着ける美意識の境地」はとても重要だと教えられました。

 

※後述1

 かって、公職選挙法を読んだとき「こんなの守れる人は政治家になるべきでない」と思った。地方公務員ならいざ知らず、重箱の隅をつついて暮らしていけそうな人物が政治などできるはずがないと思ったからです。法をいじって、そのたびごとに人物を小さく小さくしていっている。

 

※後述2

 私は一度だけ、テレビの生番組の途中で、出席者の一人が席を蹴って帰ってしまわれた場面を見たことがあります。それは自由人の巨人「小田実」さんでした。退席の原因者は時には政府から呼ばれたり、今も健在で、その番組も続いています。これをして「自由人の凋落」と言わずしてなんと言えようか。

 

 

※後述3

 安倍さんを「肉声のない教科書準拠」とは表現しましたが、なぜそうなのかは分からないままでした。しかし、次の文を読んで「なるほど、そういうことだったのか」と合点がいきました。

―これは妻の昭恵さんも言っていましたが、その期待に応えるため、自らが描く偉大な政治家像を「演じていた」側面もあったでしょう(安倍元首相銃撃事件でジャーナリスト・青木理氏が感じた「不気味な兆候」とは  2022/07/09/ AERA dot.編集部)―

 

※後述4

 昨年度阪神はセリーグ3位。68勝71負。勝率0.489

今年度阪神はセリーグ優勝。85勝53負。勝率0.616 。また、素人から見て、今年阪神は特に目立った補強もなかったように思う。

 

岡田監督は、何度も「“普通”にやるだけですよ。おーん」と口にされた。

阪神の選手は「岡田監督はなぜあんなに予言が当たるのだろう」と言っているようです。

 

あるセリーグの監督が、パリーグに対して分が悪い事から「セリーグもDH制を導入したら」という提案をされたことに対して、岡田監督は「戦力はドラフト次第だ」と言われたとか。

この「当たり前を当たり前にみる目」こそが「予言性」であり「3位から日本一に導いた理由」だと思っています。そこには、振りかざした「何の改革性」もない。あるのは「あるがままをあるがままに見る事」=「普通」だけです。

 

 

 

   2023年12月30日   井筒屋 弟二郎