先日このブログに書いた、「子供の身体が固くなっている」と同じような内容を、小学校の授業参観後の懇親会でお話したら、
娘の同級生のあるお母さんから、
「ウチの子も、すごく身体が固いんですが、力みをとる何かいい方法はないでしょうか?」というご相談をいただいた。
「緊張身 → 平常身」は、武道修行者の永遠のテーマですから、特効薬は……
なんてことは、もちろんいいませんでした。
動禅=ダイナミック・リラクゼーション・メソッドとして、斯界のトップレベルにある少林寺拳法には、緊張やストレスから来る、全身の筋緊張を解きほぐす妙法が伝わっている。
それは「目打ち」
技術の稽古の最初におこなう基本修錬。
その基本修錬は多くの場合、手首から先の力を抜いて、五指をばらばらにした状態で相手の目を打ち払う「目打ち」からはじまる。
この「目打ち」がじつによく効く!
「目打ち」はノーモションでスピードが速く、鍛えようのない目を狙うので、当身としての効果も絶大だが、
自分自身の脱力にも非常に有効だ。
手首は身体の中で、もっともゆるめやすい部分のひとつなので、
どんなに全身が固まっているときでも、手首だけならすぐにゆるめていける。
身体というのは全身がつながっているので、どこか一箇所がゆるめば、そのゆるみは全身に波及する。
そして全身が固まっていれば固まっているほど、それを解きほぐす作業は、もっともゆるめやすい部分(=手首)から取り組んだほうがやりやすい。
(専門的には「揺解運動」という。最近では関連書籍も多数出版されているので、興味のある人は勉強してみてください)
というわけで、質の高い「目打ち」をすれば、それだけで全身が解きほぐれてくる。
ただし、“質の高い”というのがミソ!
では、質の高い「目打ち」とはどのようなものなのか?
まず手首がブラブラで、五指がパラパラになっていること。
でも手首をブラブラにするためには、前腕の二本の骨(尺骨と橈骨)と肘関節もバラバラになってこないと、手首をゆるめることは不可能だし、五指がバラバラになるためには、手の平の中の中指骨や手根骨まで解きほぐれないと指はバラバラになってくれない。
つまり手首を中心に、指先、前腕、肘、上腕、さらには肩、上半身の力みが取れてこないと、質の高い「目打ち」はできないというわけだ。
そして、それらの力みを取り除くには、「目打ち」が有効であるわけで……。
要するに、基本修錬で20回「目打ち」をおこなうのなら、1回打つごとに脱力が進み、20回目には手首はもちろん、上半身全部がゆるんでいるようにやればいいのである。
「目打ち」で上半身の脱力が進んでも、下半身は?と思うかもしれないが、
下半身に関しては、「目打ち」と同じ要領で「金的蹴り」をおこない、足首からゆるめていけばいいのだ。
あとは「固まっているな~」と自覚している部分があれば、その部位を手でさすってあげる。
身体論の研究者によると、素人が揉んだり、押したりするより、ずっと筋肉が柔らかくなるらしい。
(自分の経験からもそう思う)
さらにしつこい筋緊張は、少林寺拳法の三法(剛法・柔法・整法)のひとつ、整法=身体調整法を駆使して……!?
いや~、少林寺拳法って、ちょっと出来過ぎかもしれない!!
試験前(学校等の試験も含む)や大会前の、ここ一発というときに緊張している時は、だまされたと思って数回から数十回、ひそかに(?)「目打ち」をおこなって、身心をリラックスさせて本番に臨んでほしい。
本日の「身体の知能指数」 (PQ=physical quotient) 『115』