「サイボーグ009」誕生編・3種類の比較 | 80年代の洋楽とか

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5月に出る、オリジナル構成版1巻の「誕生編」を記念して、
私が持っている3種類の「サイボーグ009」誕生編のざっくりとした比較をしてみます。
まずは表紙。大きさの比較でもあります。
 

 
左は、今から58年前、1966年に初版が出た、秋田書店のサンデーコミックス版。
なんと、今も絶版にならずに売られています。
私はだいぶ後から買いました(今から15年ぐらい前でしょうか)。
漫画単行本ではおなじみ、ジャンプコミックスなどとほぼ同じ新書判サイズです。
 
真ん中は、メディアファクトリーから出たShotaro World版。
「009」の決定版コミックスといわれています。
奥付を見ると、1998年7月初版とあります。
原則として雑誌掲載順、前半は雑誌時カラーだった部分も極力掲載、編集も丁寧。
Shotaro Worldは、石ノ森先生のマンガを網羅する全集ものとして刊行されたのですが、
人気がなく規模も縮小、短命だったのが残念でした。
(残念ながら、石ノ森先生の全集ものはウケがよくありません...)
「009」が全巻刊行されたのがせめてもの救いでした。
大きさはA5。今回の「オリジナル構成版」と同じ大きさのようです。
 
右は、今回のオリジナル構成版の底本となっている、
カラー完全版の「誕生編/暗殺者編」。
2012年10月、初版限定で発売されました。
当時の定価は12,300円(税別)。
箱に入っており、今回は箱と中身の両方を並べました。
箱と中身で、表紙が違うことがお分かりかと思います。
買った当時の当ブログの記事がありますので貼り付けておきます。
通常の単行本の2冊分、さらに昔講談社から出た「カラー版」原稿を使い、
カラーページを別途収録というおまけ付きで、700ページの大ボリュームでした。
大きさはB4で、少年マンガの雑誌サイズといえばわかりやすいですね。
元は雑誌からではなく、当時の最新技術で原稿をスキャンしたものになっています。
このため、オリジナルの雑誌そのままの部分と
単行本化の際に変更になった部分が混ざっていますし、
放送禁止用語となった言葉の変更や、
単行本化の際に貼られたスクリーントーンもそのままついています。
マニアとしては、スクリーントーンがないものこそ見たいんですけどね。
なお私の持っているものではこれのみ、第2巻の刊行となります(1冊目はヨミ編)。
 
大きさを比較するため、重ねてみました。
 
 
「カラー完全版」がひときわ大きいです。
「Shotaro World」版の大きさでもマンガ自体は見やすく、
今回のオリジナル構成版もそのあたりは大丈夫そうです。
サンデーコミックスは少し小さい感じはします。
 
なお、表紙の絵が3つとも同じなのはいくつか理由があると考えられますが、
当時009がカラーで描かれていることが非常に少なく、
しかも初期の009は服の色が赤ではなかったりするので
(カラー完全版の中の表紙のように緑の場合が多かった)、
イメージの問題で採用しなかった可能性があります。
そんなわけで表紙の絵は誕生編連載時にカラー表紙だった時のもので、
サンデーコミックス用に書き下ろしたものではありません
(サンデーコミックスでは書下ろしの表紙はありません)。
オリジナル構成版の表紙がモノクロ(連載時原稿を編集したもの)になっているのは、
差別化を図りたかったがカラー原稿がほとんどないため白黒にしたのかもしれません。
 
次に、中身をちょっとだけ見てみましょう。
 
 
こちらはサンデーコミックスでいうとP7にあたるページ。
左からShorato World、サンデーコミックス、完全版です。
ちょっと見えないですが、山が書いてあるところの右肩にある文字の内容が違っています。
Shotaro Worldは「196X年、ここはスイス-。」とありますが、
残る2つは「196X年、ここはスイスです。」となっています。
文章に関して、サンデーコミックスも雑誌当時のものとは異なる可能性がありますが、
自然なのはShotaro Worldだと思う一方、
少年誌に載っていたことを考えると、「です」と書いてあってもおかしくはありません。
また「カラー完全版」のこのページは、
幻といわれる講談社カラー版(1970年ごろの刊行)をベースにしており、
着色原稿(白黒原稿に着色したもの)が再現されているのがポイントが高いです。
今回のオリジナル構成版は、カラー版の再現はされないものと思われます。
 
もう1つ見てみましょう。
 
 
これは、「サイボーグ009」の記念すべき第1回の表紙です。
左がカラー完全版、右がShotaro World版。
サンデーコミックスにはこの絵はありません。
先ほど申し上げたように、ユニフォームの色が緑になっていることがわかります。
カラー完全版は原稿からのようで「新れんさい」などの文字がないのに対し、
Shotaro World版は文字があり、こちらは雑誌をスキャンした可能性があります。
今回はこの表紙が収録されるのか、場所はどこか、カラーなのか、
といったあたりがポイントになってきそうです。
 
ちなみに1964年に少年キングで連載が開始された
「サイボーグ009」の第1回は、単行本の冒頭とは異なり、
島村ジョーが久里浜少年鑑別所を脱走するシーンから始まります。
単行本の冒頭部分は、半年ほどのち別冊少年キングに、
「サイボーグ戦士」というタイトルで発表されたものがベースになっています。
カラー完全版ではこの雑誌掲載順にこだわったために、
「サイボーグ戦士」の部分は巻末に収録されましたが、
今回のオリジナル構成版では冒頭に収録するようです。
 
というわけで、いくつか見てきました。
オリジナル構成版はどんな感じになるのでしょうか。
大きさが同じこともあり、またプロローグが最初に来るということで、
Shotaro World版とあまり変わらないイメージを持っていますが、
雑誌掲載時の表紙を挟むかどうかで、ガラッと印象が変わると思うので、
そこがポイントになりそうです。
5月に発売されたらレビューしたいと思います。