湘南逍遥

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新橋界隈をヨロヨロ

昨年夏に救急搬送されてから早くも1年。身体のあちこちに不具合が見つかり、毎月のようにMRIやらCTの検査が続いています。ひと月ほど前からは脊柱管狭窄症も発症して今は杖がないと歩けない状態。情けありませんが加齢を実感しております。

昨日(6月21日)は久しぶりに夜の都内に出ました(もちろん杖をつきながら)。ユニコ舎刊『映画音楽はかく語りき』の著者・志田一穂氏による日比谷カレッジ「時をかけて、映画音楽の歴史の旅へ」が開講されたためです。志田氏の日比谷カレッジは毎回100名を超える受講者がおり、昨日も大盛況でした。

講演終了後の21時、日比谷カレッジが行われた日比谷図書文化館から新橋駅まで歩きましたが、足がもつれてヨロヨロ。周囲を見回せば花金(古い?)の新橋界隈は元気な酔客であふれていました。そういえば十何年か前は築地にあった出版社で働いていたので、新橋界隈で飲み歩いたものです。あの頃は調子に乘って飲み過ぎてヨロヨロ…。

 

7月20日㊏にはユニコ舎『境界 BORDER』第一集の著者の一人、西倉勝氏による日比谷カレッジ「境界 戦争体験者の証言2024」が開催されます。西倉氏は1945年1月に召集され、終戦後はシベリアに抑留されて3年間強制労働に従事されました。
壮絶な強制労働と飢餓に苦しんだ西倉氏は「故国の土を踏むまでは白樺の肥やしになるまいぞ」という言葉を胸に誓い、過酷な生活を耐え忍び、1948年7月に日本への帰国を果たしました。

というわけで、来月もヨロヨロしながら新橋界隈を歩くことになりました。きついな~とへこたれそうですが、いやまだまだ。西倉氏は今年99歳です。私なんか、まだ若造でした。

 

 

 

 

 

 

 

「祖国への挽歌」好評(?)発売中!

もう1カ月以上経ってしまいましたが、2月22日に拙著「祖国への挽歌」を出版しました。
おっと、拙著などと言っては失礼でした。この本は演出家・野伏翔氏が史実に基づいてプロデュースした舞台演劇をノベライズしたものです。野伏監督の舞台演劇はとても素晴らしい! 内容はアメリカの裏社会で実在した日系人マフィア“モンタナジョー”の鮮烈な人生を描いた作品です。2019年6月と2023年9月に松村雄基さんの主演で俳優座劇場にて上演されました。
つまり題材はとてもすぐれているわけで拙著とは言い難い。ノベライズした私の力量が拙いということはあるかと思います

以下、本ができたときの私のコメントです。

私は若き日より「ザテレビジョン」「TVガイド」をはじめ、さまざまな商業雑誌で記事を書いてきましたが、今回、野伏監督のお眼鏡にかない、初めて舞台演劇のノベライズに挑戦しました。
ノベライズはどのようにして書き上げるものか、まったくわからずに手探りの状態で原稿を書き始めました。最初に2019年の上演作の保存用VTRを何度も見返しました。演者の台詞、表情、動作などをチェックしながら第一稿を書き上げました。その後、昨年の上演作を実際に観劇するとともに、改訂台本と第一稿と照らし合わせながら第二稿を仕上げました。その第二稿を野伏監督にご確認いただき、推敲を重ねたものが最終稿になりました。
原稿を書き始めたのが昨年5月で、出版までは10カ月を要しました。
本書が面白いか面白くないかと問われれば、正直よくわかりません。ライターとしての私は原稿を書くときはいつも読者を意識していました。それはいかに読みやすい文章で、主題を読む人の心に浸透させるかということでした。
今回は読者を意識することなく原稿を書き進めました。私の頭の中には常に野伏監督がいて、監督の創意とイメージを解釈することに専心しました。
舞台演劇「祖国への挽歌」は野伏監督が世に送り出したノワール・エンタテインメントの傑作ですから、本書で野伏監督の意図が再現されているのであれば、きっと面白いものに仕上がっているはずです。一方、面白味に欠けるということであれば、それは残念ながら私の物書きとしての力量不足といえるでしょう。
ノベライズにあたっては、野伏監督の創意とイメージを損なうことのないよう戒めながらも、私なりに書き手としての演出を試みております。実際の舞台演劇とは異なる構成がありますが、ご容赦ください。
「祖国から挽歌」は舞台演劇の再演が予定され、また映画化の計画も進められています。本書がその一助を担えるようであれば幸甚に存じます。

 

以上です。月並みですが本屋さんで見かけましたら(あまり置いていませんが)、ぜひ手にとってご覧ください。表紙の松村雄基さんがとっても格好いいです。

 

 

 

 

 

ユニコは歩き続ける

湘南文学舎の渉外担当といえるパピヨンのユニコが2月1日未明、息を引き取った。

2007年8月8日生まれ、16歳であった。

とても愛嬌があり、散歩に出かけたら、見知らぬ人にも駆け寄っていった活発な子であった。近所の子供たちには「ユニちゃん」と呼ばれた人気者であった。

私や同居している猫、もう一匹の犬は体に不具合があったが、ユニコはまったくの健康体であった。

それが白内障を患い、目が見えなくなってから認知症を発症して、食が細くなっていった。

認知症が進む中でも歩くことだけは忘れなかった。外を歩くことができなくなってからは部屋の中をぐるぐる歩き続けた。

衰弱してからも、なにかの拍子に立ち上がってよろよろしながらも歩き続けた。バタンキューを何度も繰り返しながら。

 

こいつはすごいなぁ、命尽きるまで歩き続けるんだな、と私は心から感心した。私もかくありたい。

犬の16歳といえば、人間ならば80歳だという。いつの間にか私の年齢を越えて、犬生をまっとうしたと褒めてあげたいが、まだまだ一緒にいたかった。ユニコはひたすら歩いて私を追い越していってしまった。

 

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