桜の季節もとっくに過ぎ、世間はいつもと違うGWへの構え。既に突入している方もいるのではないでしょうか。
本来であれば今頃は新たな地にて計画を練っていた頃…と思ってはいけないですね。前向きに考えるしかありません。
さて、わ鐵沿線の保存車両めぐり第3弾。今回はわ鐵、そして足尾の歴史を紐解く上で欠かせない車両たちです。
例によって、2019年5月30日来訪。
なお、旧・足尾町の中心街へは隣の通洞駅の方が近いようです。
すぐに目につくのがこちら。
当車は千葉に配置され、房総地区電化がすすんだ1974年には高崎に転属。八高線・川越線・足尾線で活躍し、1996年に廃車となりました。その際、足尾駅に入線しています。
こちらは山口県の長門に配置され、1967年に高崎に転属。その後は同様の経緯をたどっています。廃車時はこちらも首都圏色でしたが、2009年の再塗装で国鉄一般気動車色に変更されています。
2〜30年あまりを過ごした足尾線の駅で保存されているのはうれしいばかり。しかも元来の塗色が2つとも楽しめるのはいいですね。
続いてはこちら。
タキ29312。濃硫酸専用のタキ29000形の1両です。
当車は足尾の企業である古河機械金属に所属し、足尾駅に常備されました。製造から9年が経った1989年に足尾精錬所からの濃硫酸輸送が終了すると、秋田県の小坂精錬鉄道小坂駅に常備駅変更。2008年の事業終了まで、小坂精錬所からの濃硫酸輸送に従事しました。
同年、古河機械金属の厚意で里帰りが実現。足尾の産業の歴史を伝える貴重なタンク車です。
キハとタキの間に置かれていた、ビニールシートに包まれていたのはどうやらアント15のようです。車両の移動、入換に使われた小型貨物移動機で、名古屋臨海鉄道の貨物駅で動いていたものだとか。
東洋埠頭(大阪府・桜島)→東北ポール(岩手県・村崎野)→栃木県北通運(栃木県・矢板)という経歴を持ちます。当地に移ったのは2007年、さくら交通公園(つくば市)の回でも採り上げたキハ04 8の保存会の手によって施行されました。
いずれも、現在においても古河機械金属が所有しているらしい…?
入換動車が豊富な印象を受けますが、かつて銅鉱業で栄えていたという足尾の歴史を踏まえると、なんとなく納得がいきます。
これらの保存管理を手掛けているのは、足尾トロッコ館も運営するNPO法人足尾歴史館。…らしいのですが、足尾歴史館自体は2019年に古河機械金属に譲渡されたとのこと。しかし、ここで特記しなかった保存車両が現在どこの所属なのか、ネットの検索だけでは探ることができませんでした。NPOの事業報告も2018年度を最後に途切れていますし、はたして…。
なお、2両のタキと、DB064を除いた入換動車、アント15は動態保存とのことで、過去にはイベントで稼働したこともあるとか。
足尾銅山観光や古河掛水倶楽部など、かつての銅鉱業の賑わいを感じられる観光施設が多い足尾。その行き帰りに、当時の足尾の産業、交通を担った車両たちを見るのもいかがでしょうか。
3回に渡ってお送りしてきましたが、いかがでしたか?
渡良瀬の歴史を感じ、旅情をそそられるような保存車両ばかりでした。今回はレンタカーで移動しましたが、次回はトロッコ列車や軽快気動車に揺られながら訪れてみましょう。
それでは今回はこのへんで…。