こんばんは 「ようよう坂町」
まだ桜のライトアップを続けています。かなり散っては来ましたが、まだかな
り花がついています。何とか明日明後日まで持ってほしいですね。
さて、今日は13日の金曜日で、西洋では不吉な日とされていますが、今日の
皆さんはいかがでしたか。13日の金曜日というのは、今年3回あります。1月
4月、7月です。年3回あるのはこの後、2015年と2026年と案外少ないの
です。ちなみに年1回しかない年もあります。2014年は6月だけです。
39年前の今日は、私の人生にとって大きなスタートの年でした。不吉な日と
いわれる日、不安な気持ちを持ちながらの旅立ちをしました。
「かわいい子には旅を?」と、青春真っ只中の25才の時、何んと会社を半年
休職し、学生時代からの夢であった海外自転車旅行に1人息子が一人で旅
立ったその日なのです。その当時はアメリカドルが308円、豪ドルが400円
の時代でした。今は米ドルが82円、豪ドルが85円ですから、日本にとっては
まだ肩身の狭い海外旅行でした。給料が5万円の時、70万の自己資金と50
万円の借入金と計120万円をかけた私にとっては青春時代の一大行事でした。
不安な気持ちを持ちながら、広島港を大阪までフェリー(今はありません)で旅
立ったのが今日13日でした。広島港には大勢の仲間が横断幕を持って見送
りにかけつけてくれました。持ち物は輪行袋に折りたたんだ自転車と唐草模
様の大風呂敷に包んだ荷物でした。大風呂敷は後で役立つことになります。
そして神戸から船に乗り、横浜、グアム、ラバウル経由で約2週間の船旅の
後、オーストラリアのブリスベーンで一人降り、自転車の一人旅が始まりまし
た。それまで一人で国内(大学時代の自転車旅行は団体)でも長期に家を離
れたがなく、不安がいっぱいのスタートでした。
神戸港で乗船を心細く一人待つ私です。乗船した「キャセイ号」です。
神戸から横浜港、そしてグアム、パプア・ニューギニア経由でオーストラリア・
ブリスベーンへの船旅です。初めての海外船旅の船は1万5千トンであまり大
きくはありませんでしたが、モノクラスで約2百名の乗客で、割と家族的に雰囲
気のクルーズでした。この程度の規模の船だったからよかったのか同乗の日
本人(10人と知り合いになった)やオーストラリア人と2週間の間、親しくなり、
長い海外への船旅は、寝食をともにし、船内という狭いエリアの中で、鉄板一
つ下はあの世という特別な生活を共有しますので、そこで生まれた仲間意識は
強く、生涯の友を得ることもできます。今年2月にはその時以来の友人の娘さん
の結婚式に出席するため、シドニーに行きました。未だに行き来しています。
ブリスベーンに4月下旬1人で降り立ち、そこから自転 車でシドニーへ。日本
語の全くない中、1人ぼったでたどり着いたのが、今回行ったシドニーでした。
シドニー入りにはハーバーブリッジを渡りますが、その手前で日本人留学生
に出合い、数日泊めてもらい、船で一緒の連中とも再開しました。久しぶりの
日本語でした。その時何度も往復したハーバーブリッジを今回は朝ジョギング
で往復しました。
シティ中心地のマーティプレイスという歩行者天国にあるのがG・P・O(中央郵
便局)です。39年前の自転車旅行の時は、日本との郵便の最初のやり取りで、
シドニーで元気をもらい、首都キャンベラを過ぎ、2千㎞先のメルボルンに着い
たのが出発して2ヶ月ぐらいでした。メルボルンには船の中で一緒であった日
本人女性が滞在していました。彼女らと会うのが楽しみでした。メルボルンに
到着し、安心すると自転車で走るのがいやになり、自転車を彼女らのフラット
に置いて、メルボルン発着の3週間のキャンピングバスツアーに出かけました。
ツアー中はもちろん英語のみの世界で大変でした。この間テントを張り、飯を
炊きながらのツアーでしたが、オーストラリアの東から北、そして中央部のエア
ーズロックなど計1万kmの貴重な体験ツアーでした。
テント生活の中にも夜はパーティなどもあります。仮装パーティでは唐草模様
の大風呂敷が着物に変身しました。
大陸内陸部にある今は世界遺産になっているエアーズロックに登りました。麓
に2泊しましたので、高さは約400mの1枚岩で、計3回登りました。そして周囲
は何んと8㎞もあり、これも走って1周しました。頂上からは何と150㎞先まで
見えました。広島から岡山の距離ですから、空気が澄んでいるのか信じられな
い距離です。左はホテルのパブ、右はエアーズロックの頂上です。
バスツアーでメルボルンに帰った後の宿舎は安ホテルでしたが、市内のフラ
ットに住んでいる彼女たちとはシティ中心部にある中央郵便局(GPO)で待ち
合わせるのが常でした。また、このGPOは日本へ手紙を送ったり、日本から
の懐かしい手紙を受け取ったりする場所でもありました。
4年前にメルボルンを訪れた時、その当時の船で一緒の皆さんと再会です。
右側から3人が福島ご家族(船で初めて知り合い、その後結婚しもう30年以
上メルボルンに住んでおり、今回娘さんが結婚されました)、左からまゆみさん
(その当時の女性)とその旦那のピーターさん(坂町にもウオーキングで来られ
ました)、真中の白いのがわが妻です。
GPOは何年か前に火災になり、それを契機にショッピングセンターに衣替え
したのことです。吹き抜けの建物は歴史の重みもあり、高級感が醸し出され
ています。こんな風に座って待っていました。
その懐かしいGPOも今では外観だけが残っており、中は高級ファッションの
ショッピングセンターになって、昔の面影はありませんでした。
キャンピングツアーやメルボルンでの楽しい生活からから久しぶりの自転車
ツアーの再開です。郊外は平坦で単調な道路が続きます。
オーストラリアは概して沿岸部がアップダウンが多く、内陸部は平坦です。国土
を横から見ると台形上になっています。
最終地点アデレードへの途中のウーナンブルです。ウーナンブルの町中です。
西部劇に出て来そうな古い町です。4年前に車で訪れ、懐かしく思いました。
宿泊場所はほとんどがキャンプですので、キャラバンパークなどに泊まります。
調理施設やシャワーは完備されており、自炊に便利です。洗濯機もあり、アイ
ロンがけもできます。ちょうど泊まった時が冬だったので、テントを張ってキャン
プする人もなく常住のキャンピングカーがあるだけでした。
そこから再び最終地点のアデレードを目指して進んでいきますが、アデレード
へ早く着きたい気持ちで、最後の250㎞を徹夜走行しました。夜間走行は真
っ暗な中、正直いって怖かったですが、日本の歌を大きな歌いながら、自らを
奮い立たせての走行で、何とか無事アデレードに着くことができました。
左の写真は新聞記事にのった時、新聞記者にとってもらったものです。
アデレードから電車でシドニーに帰り、飛行機でオークランドに行きました。オ
ークランド空港に降り立ち、自転車を組み立て、時間調整のため、北部にかか
るハーバーブリッジを渡っているとパトカーに止められました。自動車専用道路
だったのです。始末書を書かされ、幸先の悪いスタートとなりました。
オークランドの夜景ですが、右のタワーはその当時ありませんでした。一昨年
再訪しました。
イーデン山という小高い所に宿舎のユースホステルがありましたので、市内へ
の上り下りが大変でした。
ニュージーランドは3ヶ月で北島と南島を一周しました。船で出合い、今メルボ
ルンに住んでいる福島さんのフラットにとめてもらったり、ワナカ湖ではかわい
その子はダニーデンからバカンスできており、再びダニーデンで合うことにな
りました。一昨年バスツアーで訪れたダニーデンです。
ニュージーランドは国中が牧場のようで、羊が一杯でした。クライストチャー
チの郊外はカンタベリー平原ですが、平坦な道が続きます。ただ羊の数は
その当時の半分。最近では鹿の放牧が盛んになっているとのことです。
内陸に入ると雪をかぶった山々が美しく輝いています。クイーンズタウンは絵
昨年の2月の地震で倒壊し、今はなきクライストチャーチのシンボル大聖堂で
す。そしてガーデンシティを象徴するハグレー公園とエイボン川です。
一昨年妻の還暦記念で旅しました。
出発後5ヶ月たったニュージーランドの首都ウェリントンで新聞掲載された時
南島の最南端の町、インバーカーギルでも新聞に載りました。もうツアー最後
頃なので髪やひげが伸び放題です。
右側は最終のオークランドで散髪をした後に新聞社に取材を受けた時の写真
です。若かれし頃の写真は髪がふさふさとしています。
約6ヶ月余りの海外自転車一人旅は今となっては考えられないようなことです
が、若気の至りでしょうか。でもそれが縁となり、今の妻と結婚ができたし、友
達のありがたさ、そしてふるさとのよさを再発見したことにより、その後その会
社を辞め、地元での開業し、商工会とのご縁があでき、ついには商工会で仕
事をさせていただくことになりました。一方現在メルボルンに住んでいらっしゃ
り、このたび娘さんが結婚された福島さんご夫妻は、新天地オーストラリアに
夢を求め移住し、事業経営で成功され、リタイアされています。
若い時にオーストラリア旅行をし、そのまま住みつく日本人の方も多い中、私
にもその可能性はありましたが、選択したのはより地元密着の生活でした。
そのどちらが幸せなのかはわかりませんが、39年前の今日スタートした旅は、
結果的には私の人生を大きく左右したようですし、今が幸せなのでいい経験、
そしていい決断だったのかもしれません。
今まで自転車旅行の跡を再訪していますが、まだその後行っていない、アデ
レード、エアーズロック、グレートバリアリーフ、そしてニュージーランドの南島
の西海岸の氷河、北島の温泉地ロトルアなど、ぜひ再訪してみたいですね。