四日前に観賞した「マリッジ・ストーリー」のレビューです。
やっとレビューを書くのが少し追いついてきたか、、(笑)
「マリッジ・ストーリー」(2019)
「イカとクジラ」「ヤング・アダルト・ニューヨーク」のノア・バームバック監督が、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーを主演に迎えて描いたNetflixオリジナル映画。女優のニコールと夫で舞台演出家のチャーリーが結婚生活に葛藤を抱え、離婚に向かっていく姿を描いたヒューマンドラマ。結婚生活がうまくいかなくなり、円満な協議離婚を望んでいた2人だったが、それまで溜め込んでいた積年の怒りがあらわになり、弁護士をたてて争うことになってしまう。第92回アカデミー賞では作品賞のほか主演男優、主演女優、脚本など計6部門でノミネートされ、ニコールを助ける女性弁護士ノラを演じたローラ・ダーンが助演女優賞を受賞した。(映画.com)
感想 (軽いネタバレあり)
ずっとネットフリックスの見たいリストにいれたまま放置していた「アイリッシュマン」をとうとう観賞したことで、同じ年にアカデミー作品賞にノミネートされていたけれど、当時ネトフリに加入していなくて見られなかった「マリッジ・ストーリー」のことを思い出しました。
これもリストにいれていたんだけど、夫婦の結婚生活のドラマかぁ、くらいにしか思わず、優先順位は低かった、、でもさすが作品賞ノミネート作は違います!
みなかったらマジで損するところだった!
ノア・バームバックと、奥さんのグレタ・ガーウィグもとても好きなので、なんでも二人が関わる作品は見る前から肯定派なのですが、個性派俳優のアダム・ドライバーさんが時に苦手なことがあり、それが観賞をためらう一因だったかも。
しかし、このアダムは素晴らしかった〜。
もう心底ノックアウトです。
マリッジ・ストーリーだから、結婚生活、と思ったんだけど、実は結婚生活の終わりの話だった。
離婚の過程を描く映画です。
それもとてもリアルな。
もともと円満に協議離婚をしようとしていたのに、弁護士をいれることになったことから、息子の親権をめぐる泥沼の争いになって、追い詰められた二人はひどい罵り合いをしてしまう。
売り言葉に買い言葉、どんどんエスカレートしてしまいには、君なんて死ねばいい、なんて言ってしまって、自分の言葉にショックをうけて泣き崩れる夫。
傷ついた心が愛した相手に放つ言葉の応酬であることはお互いにわかっているから、そんな彼を抱きしめる妻。
このシーンは圧巻で、特にアダム・ドライバーの迫真の演技に息を飲みました。
そして妻を演じたスカーレット・ヨハンソンもこの映画を撮る時、ちょうど自分自身の二人目の夫との離婚が終結する時だったそうで、この二人をみているととても演技にはみえず、胸をうちました。
親権調査の検査員がアダムを観察するシーンも、こんなことされるのかぁ、とびっくりだったし、スカーレット演じるニコールにとって、彼女らしく生きるために離婚は必然だったけれど、二人の間に相手を思いやる愛があるのを感じられて、これは憎しみではなく、愛のお話なんだと思いました。
それから特筆すべきはやはり離婚弁護士を演じたローラ・ダーンで、アカデミー助演女優賞を受賞した時、彼女がなぜ?と思ったけれど、みたらこれはもう彼女しかない!と大納得。
ローラさん、みなおしました。
このイケイケだけど容赦のない弁護士役にはモデルがいて、ノア・バームバックが離婚した時、妻側についたセレブ御用達弁護士ローラ・ワッサーさんという方だとか。
あぁ、この作品がこれだけリアルなのは、みんなそれぞれに自分の経験を投影しているからなんだ。
希望のあるエンディングが良くて、大人におすすめしたい映画です。
結婚は終わってしまったけれど、子供を介して、こういう愛の形だってあるんだっていう。
四つ星半です。
みてよかった。