変な名前だな〜と思ったけど、佐藤健くん主演なのでプライムビデオで鑑賞。

「るろうに剣心」の佐藤くん、素敵だったし。

サムライ映画、海外在住の日本人としてはみておくべきでしょう、と思ったし。

 

「サムライ マラソン」(2019)

 

 

「超高速!参勤交代」の原作・脚本で知られる土橋章宏が、日本のマラソンの発祥と言われる史実「安政遠足(あんせいとおあし)」を題材に執筆した小説「幕末まらそん侍」を、主演の佐藤健をはじめ日本を代表する豪華キャストの共演で映画化。

 

外国の脅威が迫る幕末の世。安中藩主・板倉勝明は藩士を鍛えるため、15里の山道を走る遠足を開催することに。しかし行き違いによって幕府への反逆とみなされてしまい、安中藩取り潰しを狙う刺客が藩士不在の城に送り込まれる。遠足参加中に藩の危機を知った安中藩士の唐沢甚内は、計画を阻止するべく走り出す。(映画.com

 

 

 

感想

 

いやぁ〜、変な映画でした〜。(笑)

豪華キャストの皆さんの演技はそれぞれめっちゃ素晴らしいんです。

佐藤健くん、森山未來さん、染谷将太くんは特に。

 

竹中直人さんはちょっとコメディの度がすぎるところはありましたが、それはそうするように言われてやっているわけで、竹中さんのせいじゃない。

助長な部分は編集でカットすればよかったんだから。

 

変だなぁ、とはっきり違和感があったのは音楽。

なんとフィリップ・グラスなんですが、まったくあいません!

彼の起用が意図的なものであるのはわかりますが、「めぐりあう時間たち」みてるのかと思っちゃいますよ。

そしてこのスコアにあわせて、サムライたちが長い間、スローモーションで走るシーン。コレジャナイ感、ありすぎで、呆然、、。

 

お話も変なんです。

公式サイトによると、史実(安政遠足)は以下で、それをふくらませた創作だそうです。

 

安中(今の群馬県)藩主、板倉勝明は、安政2年(西暦1855年)藩士の心身鍛錬の目的をもって、安中城内より碓氷峠の熊野権現まで7里余りの中山道を徒歩競走させ、その着順を記録させた。これを『安政遠足』という。当時のタイムが残っていないので、現在と比較することはできないが、記録を競うマラソンはこれが初めてであった。

 

というわけでこれが日本のマラソンの始まりだ〜とうたっているのですが、映画の最後に着ぐるみ被って走っている現代のマラソンシーンをいれるって、必要でした?(この映画、文字通り迷走してる、、。)

 

で、そういう変な演出や編集はもとよりストーリーがまたひどいです。

幕府の忍びの佐藤くんのほんの一瞬の勘違いが、ここまでひどい血みどろの戦いになるって、なんか説得力ないし、佐藤くん、いくらかっこよくても、結局、おまえのせいかいって。

でも、だからってみんなを救う大活躍をした佐藤くんが、あのタイミングで切腹を申し出るって、微妙〜。

 

姫もひどいね〜。お姫様ライフに不服の姫が、城を抜け出してサムライのふりして走るのも、まわりの侍がバッタバッタと死んでいくのに、お姫様が強すぎるって、まったく信憑性ないです。漫画だったらアリなのかもしれないけれど、映画は真面目路線でしたしね。

 

役者さんたち、どう思っていたのかなぁと検索してみたら、こんな納得のインタビューが。

下矢印

 

「あんなにはちゃめちゃな撮り方をしていて、映画としてまとまることにビックリした」、「現場で手応えを感じていたのは監督ただ1人」というコメントがかなり本音の部分ではないかと(笑)

 

本読みのあとに、監督から脚本を「燃やすなりなんなり、捨ててくれていい」「一応、書かれている通りに撮っていくけれど、セリフを言いたくなければ言わなくていいし、別のことをしたかったらしてもいい。人間のエネルギー、力みたいなものを見たいから、細かいことは気にせずやりたいようにやってくれ」というようにいわれたというので、日本人の演技パートが真摯でしっかりしていたのは、まさに役者さんたちの力だったのだと思います。

 

個人的にひとつ嬉しかったのは、海軍提督ペリーがトヨエツ演じる幕府大老と面談するシーンからはじまったこと。

2020年の日本の旅から旅行記休止中の私ですが、実は去年10月に下田旅行をしてペリーについて学んできたばかりなので、なんというタイミング!と喜びました。

 

 

ペリーを演じたのはダニー・ヒューストンさん。

彼を最後にみたのは「ワンダーウーマン」で悪いドイツの将校を演じてガルさんと戦ってたなぁ(笑)軍服が似合う役者。

 

 

というわけでいろいろ書きましたが、本作はひじょうに微妙でした。

でも役者さんたちに免じて、おまけで星みっつ進呈です。

 

外国の監督さんによる、日本映画、要注意!びっくり

(それを思うと、ネトフリのドラマ「忍びの家」の監督さんがどんなにすごかったかわかりますね〜)

 

でも誰かにこのフィリップ・グラスの音楽によるサムライ映画をみてもらって、違和感を共感しあいたい気持ちは大いにあります(笑)

 

そこそこ良い映画より、つっこみどころの多い作品の方が話題につきないって、あるあるですね。笑い泣き