自分のコンディションによって、見た映画の感想が違ってくることがあります。
途中で眠ってしまって、見直すとよかったり。
眠らないにしても、一度目はピンとこなかったけれど、最後までみて内容を理解した上で2度目にみると、気づかなかったことがみえてきて、面白さがわかったり。
自分自身の立ち位置によって、良し悪しの判定を下してしまうこともあります。
「ナイアド その決意は海を越える」はそのような映画で、寝てしまったけれど、寝たと思われるところまで巻き戻して最後までみたら、実はとても良いかも、と思い、日を改めてまた初めからみたら、とても面白くて、寝るなんてありえない!と思った良質の映画でした。
アネット・ベニング(65歳)とジョディ・フォスター(61歳)による、実在のマラソン・スイマーの物語。
アネットがアカデミー賞主演女優賞に、ジョディが助演女優賞にそれぞれノミネートされています。
「ナイアド その決意は海を越える」(2023)
"水泳界のエベレスト"と呼ばれるフロリダ海峡を、サメよけのケージを使わずに史上初めて横断するという快挙を、64歳にして成し遂げたマラソンスイマー、ダイアナ・ナイアド。本作は、キューバからフロリダに至る約 180キロにも及ぶ危険な外洋を、53時間かけて泳ぎきった彼女の半生を描く。引用元
感想
ネットフリックスでみられるアカデミー賞ノミネート作品をチェックしていてみつけた本作。
アネッド・ベニングとジョディ・フォスターが出演しているのに興味をもって、内容も知らずに鑑賞しました。
28歳の時に挑戦して敗れたキューバのハバナからフロリダのキーウエストまでの180キロの遠泳を、60歳になってから再度挑戦する物語で、とにかくずっと泳いでいるので、そのうち寝てしまった、、。
でも巻き戻して半分くらいからみて、内容はだいたいわかったので、日を改めて、再度最初から鑑賞。
あぁ、諦めずにちゃんとみて本当によかった。
180キロって遠すぎて感覚がわからなくなるけれど、53時間も寝ないで海水につかって泳ぎ続けるってありえません〜。
それもプールじゃなくて、波や激しい潮流や嵐やサメや殺人的な毒クラゲと戦って!
何度も死にかけ、幻覚もみながら、それでも決してあきらめないナイアド。
私の通った中学校では夏に全校恒例の水泳合宿があって、私も千葉県の海で、中一で3キロ、中二で6キロ、中三で指導員としてもう一度6キロ泳いだのですが、大人になってそれをいうとみんな驚いてくれるので、今までちょっと嬉しかったのです。
でも180キロなんてきくと、6キロが恥ずかしくなる〜
ナイアドは14歳の時に水泳のコーチに性被害にあっていて、そのフラッシュバック映像が泳いでいる時にでてくるけれど、そういうトラウマも年齢の壁にも負けず、どんなことがあってもあきらめないナイアドの姿に感動します。
私もスポーツ水着と度付きの水泳ゴーグルを買いに行く気になった〜。
そしてそんなナイアドをささえる友人役がジョディ・フォスターで、彼女やまわりのクルー(リス・エヴァンスもよかった!)にささえられて、とうとう4度目(20代の挑戦を含めると5度目)に64歳で成功する姿は本当に勇気づけられました。
たった一度の限りある人生で、夢をあきらめないことの大切さを感じました。
それからそのナイアドを演じたアネット・べニングは本当にすごかった!
彼女はきれいな人だけど特に魅力を感じたことがなかったのです。
最後に見た出演作は「キャプテン・マーベル」だったけど、似合わない役柄だと思ったし。
美人女優はきれいなぶん、ステレオタイプからはずれた思い切った役をしないと実力をなかなか理解されないように思いますが、この映画では役作りのためにコーチについて一年水泳のトレーニングもしたし、撮影がはじまると毎日4.5時間泳いでいたそう。
65歳の素顔と体もそのままに、まるでナイアドがのりうつったかのような演技は本当に主演女優ノミネートにふさわしい。
だいたいアカデミー賞主演女優賞が一人にしか授与されないのが間違ってるって思えてくるほど。
だって話題性のある映画で、華やかな人の方が当然この賞を受賞するでしょう?
でも彼女の女優魂は私の心にはっきり刻まれましたよ〜。
そしてもちろん久しぶりのジョディ・フォスターもとても素晴らしくて。
61歳の彼女の顔には当然皺はあるけれど、鍛えられた体と素晴らしい助演女優ぶりも堪能しました。
四つ星です。