「ザ・クラウン」シリーズが完了したあと、もっと英国もので見てない映画はないかしら〜とみていたら、アマゾンプライムでこれを発見。

The Madness of King Georgeです。

あら、面白そうなタイトル、ジョージってどのジョージかしら、と思ったのだけど、日本語の題名は「英国万歳!」なのですね。

それだったら意味不明で見なかったかも〜(笑)

 

 

 英国万歳!(1994)

 

 

あらすじ

18世紀の英国王室を、あぶない視点から描いた名作舞台劇を映画化したブラック・コメディ。1788年のイギリス。国王ジョージ三世が突如乱心し、異常な行動を繰り返すようになる。王室が崩壊すると悟った臣下たちは、次々と裏切行為を取り、混乱のきわみを迎える。危機を感じた精神分析医のウィリスは、荒療治を試みるのだが......。当時の英国王室文化を忠実に再現した、荘厳なセットの数々が見どころ。(Google サーチより引用)

 

 

 

感想

 

ジャンルがコメディ/ドラマと書かれていたせいか、主役の国王ジョージ3世を演じているのはメル・ブルックスかと何故か勘違いしてみてしまいました。

ドタバタコメディだったら嫌だからすぐやめよう、なんて思ってたほどですが、なんのなんの、これがとても良いお話で、ジョージ3世がシェイクスピアのリア王を読む姿なんて、これは英国の舞台俳優の仕事だ!なんて思っていたら、メル・ブルックスじゃなくてナイジェル・ホーソンでした。失礼。

 

この映画は米国アカデミー賞ではいろいろな部門でノミネートはされたものの、受賞したのは美術賞だけでしたが、英国アカデミー賞ではホーソンが主演男優賞を受賞、カンヌ国際映画祭ではヘレン・ミレンが女優賞に選ばれています。

 

そうです、ヘレン・ミレンが王妃様の役。

それもとても美しいし、素晴らしい演技。

この時のヘレン・ミレンは48〜9歳でしょうか。なんだか年をとってからのイメージしか知らなくて、こんな役をしていたのだな〜と惚れ惚れしました。

ヘレンさん、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身だったのですね。

 

英国の王様は名前がどれも似ているので、調べてみたら、ジョージ3世って60年も在位していて、その間、植民地だったアメリカが独立したり、フランス革命がおこったり、ナポレオンと対決したり、産業革命がおこったり、大変な時代だったのですね。でも国民に慕われる良き王様であったと読みました。

 

ところがその王様が発狂し、息子のプリンス・オブ・ウェールズが権力を得ようと画策し、というのがこの映画の中心ですが、王様の長い統治で自分のやることがないプリンス・オブ・ウェールズって、まるでチャールズみたいで、ずっと昔につくられた映画なのに「ザ・クラウン」を連想しました。

 

このプリンス・オブ・ウェールズ、のちのジョージ4世を演じるのがルパート・エヴェレットで、放蕩息子らしさがルパートにぴったり(笑)

ジョージ3世はこの映画では狂気がなおって万歳〜!というところで終わるので、嬉しいエンディングですが、実際にはその後また健康状態が悪化し、結局息子がリージェント(摂政王太子)となり、父の死後、ジョージ4世となったのですね。

 

 

ジョージ4世は父と違い、派手で浪費が激しく、政治をこころみず、スキャンダルが絶えない王だったようですが、あの美しいブライトンのロイヤルパビリオンを作ったのもジョージ4世。

ウィンザー城の飾り付けやバッキンガム宮殿の大規模な再建をしたのもジョージ4世だというから、後世にとっては何が幸いするかわからないものですね。

 

ブライトンに行った時、夢中になったジョージ4世が、このルパート・エヴェレットが演じたしょうもない息子だったとはびっくりです。(笑)

 

英国、ロイヤル・パビリオンの旅行記、よろしければご覧くださいね。

 

当時、アカデミー賞で美術賞を受賞したと書きましたが、「ザ・クラウン」とか「哀れなるものたち」の美術を考えると隔世の間があります。

でも今みても良い作品と感じるのはやはりヘレンさんやナイジェル・ホーソンさんの演技と脚本の面白さです。

 

良い作品と出会ってよかったハート 四つ星です。

 

 

おまけ:

国王が発狂してのちに息子のジョージ3世も発狂。

遺伝病のポルフィリン症によるとありましたが、頭髪からヒ素が発見されたそうで、カツラのせいだったという話も。

繊維だとか白粉だとか、知らないうちに有毒物質をとっているとしたら、今だって怖いですね〜。