「マエストロ その音楽と愛と」(2023)

 

 

「アリー スター誕生」で監督としても高く評価された俳優ブラッドリー・クーパーの長編監督第2作で、「ウエスト・サイド物語」の音楽などで知られる世界的指揮者・作曲家レナード・バーンスタインと女優・ピアニストのフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインがともに歩んだ激動の人生と情熱的な愛の物語を、バーンスタインの雄大で美しい音楽とともに描いた伝記ドラマ。

クーパーがレナードの若き日々から老年期までを自ら演じ、「プロミシング・ヤング・ウーマン」のキャリー・マリガンがフェリシア役を務める。共演はドラマ「ホワイトカラー」のマット・ボマー、ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のマヤ・ホーク。クーパー監督と「スポットライト 世紀のスクープ」のジョシュ・シンガーが脚本を手がけ、製作にはマーティン・スコセッシ、スティーブン・スピルバーグが名を連ねる。(引用元)

 

 

感想

 

2023年のネットフリックス製作映画です。

12月は仕事とクリスマス準備で忙しく、やっと映画館に行ける頃にはすでに配信がはじまっていましたが、あえて初めは映画館で鑑賞、そして数日後、英語字幕付きで自宅のネットフリックスでみました。

この見方で正解!

 

後半、バーンスタイン(ブラッドリー・クーパー)が大聖堂でマーラー『復活』の指揮をするシーンは、自分もオーケストラで演奏しているようなアングルでバーンスタインをみつめる形になり、圧巻の迫力とのめりこむ感動を味わいましたが、2度目に自宅のテレビで見た時はすごいのはすごいのですが、一体感が違いました。

 

やはりこの映画は劇場の大スクリーンと閉ざされた空間と素晴らしい音響で鑑賞しなくては!

 

でもその後、家で英語字幕付きで2度目をみることによって、聞き逃していた言葉や理解できなかった意味がよくわかるようになって、このような形で鑑賞して本当によかったと思います。

 

ブラッドリー・クーパーさんが、6年かけてこの6分21秒の指揮を学んだという、バーンスタイン本人の映像がありました。素晴らしい!

 

 

この映画は先日みた『TAR/ター』といろいろ重なるところがありました。

ケイト・ブランシェット演じるターが子供の頃にみて音楽の道をめざしたのが、バーンスタインの「Young People's Concert」だったし、バーンスタイン自身が若い音楽家らと性的な関係を結んでいたのは、ターにつながる、、。

そしてターが指揮していたのもマーラーだったし。

 

個人的には「ベニスに死す」で使われたマーラーの音楽は大好きなので、うっとりしちゃいます。

それからこの映画に使われた音楽、マーロン・ブランド様の「波止場」、ミュージカル「踊る大紐育オン・ザ・タウン)」、「ウエストサイドストーリー」とか私の大好きな曲ばかりで本当に嬉しくなっちゃいました。

 

そういえばこのジーン・ケリーやフランク・シナトラらが水兵さんの格好で「ニューヨーク、ニューヨーク」と歌って踊るミュージカルは11月にブログ記事で書いたばかり!

 

昔の白黒のハリウッド映画に憧れる私には、この話の前半がその頃の映像のようにとられていたのも嬉しかった!それでいてアートハウス映画のようなスピーディーで印象的な演出!

 

そして後半のカラーになってからつらいパートにうつっていくのだけど、このような人生であったとは全く知りませんでした。

 

彼の性的嗜好も知りながら結婚した奥様。

それでもこれはつらい。

だけどバーンスタインさんのエネルギーあふれる唯一無二の才能と魅力は人をひきつけてやまないものだったのでしょう。

 

奥様のフェリシア役のキャリー・マリガンさんは主演女優賞をとるかも?!

ブラッドリーさんも自分が主演しながら、これが監督2作目ってすごい才能です。

娘役のマヤ・ホークさんもとてもよかったと思うし。

あぁ、そしてメイクのカズ・ヒロさん。はやくにクレジットされてて嬉しかったです。この特殊メイクは本当にブラッドリーがバーンスタインにみえましたよ。

すごすぎる!

 

ちなみに現実には、バーンスタインはあの若い男性、トミーさんと1971年に会って、のちには一緒に住んでいたそうですが、1977年に別れたとのこと。

そしてその年、フェリシアさんとよりを戻す話をしていたのに、彼女が肺がんになり、翌年1978年に亡くなってしまった。

そしてバーンスタインとトミーは1980年から友人関係を続けたけれど、その数年後に今度はトミーさんがエイズで亡くなってしまったんだそうです。

バーンスタイン自身は1990年に72歳でその生涯を閉じました。

 

アルコールとドラッグとタバコで常にハイエネルギーだったバーンスタインさん。

あふれる才能と創作パワーを消化するにはそれが必要だったのかな。

 

万人向けの映画ではありませんが、音楽ファンには特におすすめします。

四つ星半。