また現時点で日本公開未定の映画のご紹介です。

(このレビューを書いた時はまだ日本公開がありませんでした。)

 

「EMMA エマ」(原題:Emma.)

 

 

エマ・ウッドハウスは裕福な家に生まれ育ち、美貌と教養を兼ね備えていた。そんなある日、エマは友人(ハリエット)の花婿探しに乗り出すが、事は彼女が思っていたようには進まなかった。

本作はエマがいくつかの挫折を通して精神的に成長していく姿を描き出す。

(ウィキペディアより引用)

 

 

 

 

「EMMA エマ」はコロナで劇場公開が遅れた映画のひとつで、デジタル配信になったようですが、オーストラリアでは6月の映画館再オープンの時からみられるようになりました。

 

19世期世紀初頭に活躍したイギリスの小説家、ジェーン・オースティン原作の映画だから、英国好きの私としては、みようかな、でも特に大きなスクリーンでみるまでもないかな、とぐずぐずしていたら、細々でもロングランで7月になっても上映しているので、昨日、気軽な気持ちで鑑賞。

結果、期待をはるかに上回る、素敵な上質作品でした。

 

「エマ」は1815年の長編小説で、これまでに映画、テレビドラマ、舞台劇、ミュージカル、漫画になるなど、とても人気があります。

 

今回が5回目の映画化になるこの作品は、エマというタイトルのあとにピリオドがついてます。これはピリオドドラマ(時代物のドラマ)ですよ、というジョークみたい。先日みたディケンズのデイヴィッド・コパフィールドのように、昔の名作を現代的に演出したリメイク。こういうのが今、流行っているのかな。歴史コメディ映画の「女王陛下のお気に入り」がアカデミー賞を受賞したのも後押ししているのでしょうか。

 

ジェーン・オースティンは気になる作家だけど、英国の中流階級の子女がいかにして意中の人を射止めるか、という話ばかりで、ブロンテ姉妹の方が話に深みや重みがあって好きだなぁといつも思っていました。でも今回の映画化をみて、はじめてジェーン・オースティンが大好きになりましたよ~。

 

まず最初に心をとらわれるのは、衣装やインテリア、小物にいたるまでのデザインや色使いの素晴らしさ。

どこをみてもまるでウェディングケーキのようというか、すべてのシーンにハートを直撃されるような女子好みの可愛さ。

色のトーンや配色、レースや様々な柄や帽子やピアスにいたるまで目が釘付けになります。

 

今まで見た映画の中でこれに一番近いのはソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」のまるでお菓子のような淡いパステルカラーの世界です。

 

本当におしゃれ!私のなかではアカデミーの衣装デザイン賞も美術賞も、早々にもうこの映画で決まりです。

 

役者さんもエマの父役のビル・ナイ以外はほとんどみたことがない人ばかりだけど、彼らがみんなはまっています。

 

ビルがみてるだけで楽しいのはもとより、主役エマを演じる女の子も、仲良しのハリエット役の子も、笑顔をみるだけでぞ~っと身震いしたくなるような牧師エルトンも、その他みんながそれぞれの役にぴったり。

 

エマはオースティンが「私の他には誰も好きになれないそうにない女主人公」というキャラクターで、以前にエマを演じたグウィネス・パルトロウやケイト・ベッキンセールのイメージを重ねるとなるほど、と思うけれど、今回のアニャ・テイラー=ジョイさんはとても好感がもてました。

 

エマの相手役のジョニー・フリンという俳優さんは、初見はそれほどイケメンではないかも?って思ったけれど、なんのなんの、応援したくなる魅力のある人で。

はじめのシーンが彼の着替えというのはファンサービスかな(笑)

ミュージシャンで自分のバンドももってます。

Stardustという映画でデヴィッド・ボウイ役をするというのでちょっと注目かもしれません。

 

19世期のラブコメ。とてもよかったです!

オータム・デ・ワイルドさんは本作が長編映画監督デビューだそうですが、長く音楽業界でカメラマンをしてきたというだけあって、とてもセンスがいい。

 

「アメリ」につぐ、お気に入りのおしゃれ映画になりました。特に女子必見!四つ星半、進呈です。

 

 

おまけ 1:

 

2012年にイギリス、バースにあるジェーン・オースティン・センターを訪れました。その時の日記がありますので、よろしければご覧くださいね。

 

 

 

おまけ 2:

 

エマが着用したすべてのドレスの動画

観賞後のチェックにご覧ください。

摂政時代(リージェンシー)のドレスが忠実に再現されているそうです。

 

 

PS.本作で主役のアニャ・テイラー=ジョイさんはゴーグデングローブ「コメディ・ミュージカル」の主演女優賞にノミネートされました。この映画もよかったけれど、ネットフリックスのドラマ「グィーンズ・ギャンビット」での彼女はもっとよかったです!こちらでリミテッドシリーズのの主演女優賞を受賞しました。今、旬の女優さんですね!