総立ちとなったコンサート
今まで、いろんな大学の学園祭に出させてもらいました。最近では、春に行なう大学も増えてきているみたい。
学園祭は、普通のリサイタルと違って、来ているお客さんがどういう人たちなのかわからないので、ステージに上がるその時まで、いつも不安なのです。リサイタルならば、最低でも私の名前くらいは知っている人たちが来てくれていると、わかるけれど、学園祭だと、チケットが売れなくて困るので、友だちに安くしてでも、売ってしまわないと・・・・・・って感じなので、一種独特の恐怖を感じるのです。特に、今まで一度も行ったことのない土地なんかだと、緊張の度合いが、一気に増すのです。
昭和57年5月30日。
九州の長崎大学の学園祭に出たときのことです。
長崎へきたのは、二度目。といっても、最初は高校の修学旅行の時に来たので、仕事とすれば、今回が初めてなのですよ。
♪アァァァ~~~ ワァワァワァワァ~~~
長崎ィはァ~ 今日もォ雨だあったァ~♪
歌の通り、その日の長崎は小雨でした。
私も場合、九州での知名度が、いまひとつ、イエ、いまふたつくらいなので、この仕事が決まった時から、とても心配だったのです。
教室の控え室で、リハーサルまでの間、のんびりした時間を過ごしました。
学園祭実行委員であろう学生さんたちが、細かい所まで気をつかってくれます。
『お飲み物は何がいいですか?』
『お菓子をどうぞ』
そのうち、メインのお弁当の時間がやってくるのです。学園祭といえば、お弁当が一番の楽しみ。その学校によって、ずいぶん違うから、毎回、それはそれは楽しみにしているのです。この瞬間だけ、私の緊張はほぐれるのでした。
『きょうのお弁当は、なァにかなァ~』
ルンルン気分で差し出されたお弁当を見る。
それは、どこか見覚えのあるお弁当なのです。
『あー! ホカホカ弁当だ!』
あの、ササニシキのホカホカ弁当、のりまき編だったのです。
さて、リハーサルも終わり、いよいよ本番。本ベルまで、ステージの袖で待っている間に、生理的欲求を感じ、お手洗いまでダッシュ。
スッキリした気分で、いざ出陣!!
そこには、たくさんのお客さんが入っていて“ホッ”と胸をなでおろしたのでした。さっきまで、あんなに心配していたことがまるで嘘のように、初めて逢えた長崎のみんなと、とても盛り上がったステージを作れたのでした。
ラストの曲が終わり、アンコールへ。
お礼を述べてから歌い出すうちに、前列び座っている人たちが、一人立ち、二人立ち・・・・・・いつのまにか、総立ちのアンコールとなっていたのでした。
『こんなにみんな、喜んでくれるなんて・・・・・・』
お客さんが総立ちになったことなんて、初めてだから、とても、驚いてしまったけれど、最高に嬉しかったのです。
コンサートが終わってから、スタッフと、とってもおいしい長崎ちゃんぽんを食べに行ったのです。
初めての長崎での一日、最高でした。
帰り際、長崎空港まで送ってくれた実行委員長の方から、記念にと、
“SHYOKO NAGASAKI 82・5・30”
と刻まれたペンダントをいただきました。
長崎大学のみなさん、たいへんお世話になりました。
オマケ
当時受け持って頂いた先生方のその時の年齢より自分たちが追い越してしまってる、と言う複雑さ・・・・・・。
中学卒業して35年以上も経てば仕方ないですね。
宴も盛り上がり一次会のお開きの前に写したので、完全に出来上がってる同級生もいたり・・・・・・。![]()
