確実に一枚売れたレコード
できてきた一枚のレコード。私のレコード。
とても不思議な感じ。脇をくすぐられているようで・・・・・・。
そうだ!部屋へ飾っておこう。沢田家の家宝として・・・・・・。
本当にレコード屋さんに置いてあるのか、心配で心配で、よく学校の帰りに友だちと捜しに行ったものでした。
私のレコードが入っているコーナーは、だいたい“女性歌謡曲サ行”という所です。ひどい所になると“クラウンレコード演歌”に並べられていたりもするのです。それでも、見つけた時は嬉しくて、必ず自分のレコードを一番前に並べて帰ってくるのでした。
そのうち、今度は本当にレコードが売れているのかどうか気になり出し、やはり学校の帰り道、いつも通り友だち数人とレコード屋へ立ち寄った際、思いきって自分のレコードを買ってみようと思ったのです。自分のレコードを自分でお金を出して買うなんて、とても勇気のいる行為です。友だちのAさんは、
『やめなさいよォー、みっともないから』
と言いつつ、目では“ヤレ、ヤレ”と語っています。
他の友だちも、
『面白そうだから、やれば、私、離れた所で見てるから・・・・・・』
なんて薄情な人たちなんだろう・・・・・・。
度胸をきめ、自分のレコードえお手にしてひとこと。
『ワァー見て、この娘。かわいいと思わない?』
あまりの白々しさに、級友が目を背ける。
私、さらにひとこと。
『この人の歌って、いいのよネェー。私、このレコード買っちゃおーっと』
静々と歩き、レジでお金を払う。背中に射すような視線を感じたが、これで良いのだ。
『やった・・・・・・。確実に一枚売れたゾ!』
オマケ
せっかくの週末なのに梅雨時期と言う事もありぐずついた天気でした。
代車はこちらでした。



