こわい話(15)日米共同飛行 | 詩はどこにあるか

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 msmのニュースサイトに、「中国がやるなら、日本もやる」一線を越えた威嚇飛行に、日米共同飛行で空を圧倒」という見出しと記事(竹内智子 によるストーリー)。
 それによると、「9日に中国の「H-6」爆撃機2機とロシアの「Tu-95」爆撃機2機が東シナ海から四国沖の太平洋まで、約8時間にわたり共同飛行を行った直後に実施されたものだ。」
 その記事のなかで、私が注目したのは次の部分。

防衛省の統合幕僚監部は11日、米軍のB-52爆撃機2機と、航空自衛隊の「F-35」および「F-15」戦闘機各3機が、前日(10日)に日本海上空で戦術訓練を実施したと発表した。日本側は今回の訓練について「力による一方的な現状変更を許さないという日米双方の強い意思を示すもの」とし「同盟の即応態勢と抑止・対処能力を一層強化した」と説明した。

 米軍機が2機、自衛隊機は6機という「配分」である。「日米共同飛行」というのだが、バランスは「共同」と呼べるものとは思えない。米軍機は「添え物」というか、しかたなく2機参加したという感じがする。
 だいたいこの訓練の発端は、高市の「中国への宣戦布告」(「存立の危機」発言)、中国の自衛隊機へのレーダー照射という流れの延長線上にあるものだ。
 その認識の上で書くのだが。
 この「共同訓練」には、韓国は参加していない。日米韓は、しばしば共同訓練をしているが、今回の訓練には参加していない。大がかりなものではないから、と言えばそれまでだが、それ以上のことが言えるのではないか。韓国は、誘っても、それに参加しなかったのではないか。あるいは、韓国を誘っているだけの時間がなかったというか、場当たり的なものではないのか。高市の「宣戦布告」に対して、韓国は「中立」という立場を表明している。
 また、アメリカも「中立」と言っている。そのアメリカの「中立」を「裏付ける」のが参加機の数である。対等ではない。6対2。自衛隊の主導である。
 で、自衛隊がほんとうに「主導」で、つまり自衛隊が指揮する形でアメリカ軍がいっしょに中国と戦うのか。
 違うと思う。
 高市が望んでいる「台湾有事」が起きたとき、米軍は、その「戦争」を日本にまかせ、さっさと逃げるのではないか。もし日本を支援するとしても、アメリカ軍は沖縄からグアムまで引き揚げ、「遠距離」から支援するのではないか。そういう「態度」というか、「意識」が6対2という参加飛行機の構成に反映していると思う。

 私は「日米同盟」そのものに反対だが、そのこととは別にして、これは「こわい現実」である。
 アメリカは「台湾有事」には、のめりこまない。かならず「距離」を置く。
 今回の共同訓練について、トランプが習近平から非難されたら、トランプはかならず「あれは日本におつきあいしただけ。アメリカの主導ではない。参加機体構成をみてもらえればわかる」と逃げるだろう。
 高市は、日本(高市)がアメリカ(トランプ)を指揮する、その「事前演習」と主張するかもしれないが、そんなことは絶対にない。
 アメリカは、核保有国と戦争したことは一度もない。するはずがない。
 それは、北方四島がロシア(旧ソ連)に支配されているのに対して、それを「日本の存亡の危機」とはとらえていないことからもわかる。知らん顔している。

 アメリカは、「台湾有事」のときは逃げる。これは、こわい。そういうことを想像しない高市の「軽はずみ」がこわい。「台湾有事」は、アメリカが軍備を日本に売りつけるための、商売上の「方便」にすぎない。