2025年12月9日の読売新聞(西部版・14版)に「戦後80年」の特集が載っている。今回は「帰らぬ遺骨」がテーマ。112万柱が未収容のままであると言う。その遺骨はどこにあるか。6面に地図が載っている。それを見ると、日本軍がどこで戦っていたかがわかる。それは日本の「侵略」の跡である。
なぜ、こんなことを書くかというと。
高市の中国への「宣戦布告」発言と関係がある。以前も、いまも、日本がどこかから攻撃されたら日本だけでは日本を守れない。東南アジアの諸国と「集団」で日本を「自衛」しなければならない(集団的自衛権の行使)と考えるひとが大勢いる。「集団的自衛権」を「勝手に」解釈して、そう言っているのだが、東南アジアの諸国が日本軍と共同で日本を守るために戦うということはあり得ない。日本はかつてその国々を侵略し、そこでたくさんのひとを殺しているのだから。たくさんの日本兵が死んでいるということは、たくさんの日本兵が、そこでまた多くの人々を殺していることを意味するだろう。日本人だけが殺されたのではない。まず、日本人が、その国の人々を殺したのだ。高市支持派は、「絵空事」を言っている。
また、どこかの国が日本を攻撃してきたら、アメリカがいっしょに戦って守ってくれる、と信じきっているが、私は、この点についても疑問に思っている。

アメリカは、なんといっても広島、沖縄に原爆を投下した。沖縄でも大勢の市民が犠牲になっている。そんなことをした国が、日本をほんとうに助けるだろうか。いまは状況が変わってきているが、沖縄ではアメリカ兵が女性を暴行し、事件が発覚すると米兵はアメリカに帰国し、罪を問われていない。日本で裁判を受けていない。そういうことを平気でするアメリカが、日本を助けるということはあり得ない。
まして、その相手が「核保有国」となれば、絶対にアメリカは戦争に参加しない。アメリカは、第二次大戦後も各地で「戦争」を起こしているが、相手は「核保有国」ではない。
アメリカは日本の味方などしない(日本を守るためにいっしょに戦わない)、核保有国とは戦争しないのいちばんいい例が「北方四島」である。日本政府は北方四島を日本の領土であるといっている。そこにロシア(旧ソ連)が侵攻し、そこれ占領している。それは「台湾有事」どころのさわぎではない。架空の話ではなく、現実の話である。しかし、高市は北方四島を占領されたままでも「日本の存亡の危機」とは言わないし、それを奪還するために軍事行動を起こすとも言っていない。アメリカが、北方四島は解決済みのことと考え、ロシアと戦争したくないからである。
アメリカはけっして核保有国と戦争などしない。それなのに、なぜ、「台湾有事」を口にするのか。高市をそそのかすのか。理由は簡単である。そそのかせば、高市はアメリカから武器を買うからである。アメリカの軍需産業はもうかるからである。
アメリカはロシア・ウクライナでも同じことをしている。ヨーロッパ諸国にロシアは危険だ、防衛力の強化が必要だといって武器を購入させている。アメリカ強欲主義は、とまるところを知らないのである。
多くの日本人がアメリカの攻撃によって死んでいる。アメリカといっしょに戦うことなんて、絶対にできない、とだれか言わないのか。
いや、かつて、ひとりいた。田中角栄は、ベトナム戦争のとき自衛隊派兵をアメリカから要求された。しかし、平和憲法を理由に、それを拒否した。その結果失墜させられた。それを日本の歴代首相は知っている。だから、アメリカの要求を拒むことはない。逆に、進んで媚を売って、アメリカから武器を買っている。自分が首相でいられるなら、ほかの日本人がどうなってもかまわないのである。