小倉金栄堂の迷子(14) | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

 書くことが何もないと書いた後、書くことが何もなくても、書くことが何もないと書くことはできるし、あの時も、書くことは何もなかったので、書くことは何もないと書いたのだが、その後、そのことばを傍線で消し、さらにその上に、いま書いたことばを傍線で消したと書いてみたが、その文字と傍線の下から書くことは何もないということばの一部が見え、それを書くことは何もないと読むことができたのは、それはことばにその文字を書いた記憶があるからなのかも知れないわけで、そう思ったことを、さらに書き重ねて消そうとしてわかったのだが、この作業は、こうやってはてしなくつづけることができるし、それは書くことが何もないからこそ、それをつづけることができる。それを矛盾と呼んでしまうと、それは書くことが何かあることに変わってしまうので、ことばは、急いで、もう一度書くことは何もないと書き重ねる。