破棄された詩のための注釈12 | 詩はどこにあるか

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破棄された詩のための注釈12
             谷内修三2020年08月13日

 「胃の痛みについては」、別の詩でこう書つづけている。「何も語らなかった。川の流れを見ていた。去っていくものを頼りに、痛みを流しているようだった。」
 別の詩では、ことばを複数の人間に分け与えている。
 「頭の中で、全部考えた。感情を動かさないようにするために、川を見に行った。」
 「感情を読みたくない。不謹慎だ。散文だけで充分だ。」
 「痛みは、不道徳だ。」
 しかし、文体の変更はむずかしい。反論を重ねてしまうという癖があらわれ、登場人物をひとりに集約させてしまう。