破棄された詩のための注釈06 | 詩はどこにあるか

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破棄された詩のための注釈06
             谷内修三2020年08月03日

 「夕刊」には、五年間住んでいたアパートの写真が出ていた。そのため、何度も読み返したが、夕日があたるとモルタル壁の色が変わること、裏側に鉄の非常階段があることは書いてなかった。
 窓から、遠い川がかすかに見えることも。
 干潮には川の底が見え、満潮には橋の上から覗くと顔が映るのが見えた。
 『右岸の水』という詩集を街の印刷屋で百部印刷した。一日五通ずつ封筒に入れて、郵便局まで投函しに行った。その中の一篇は、アパートの扉には、郵便を投げ入れる穴があって、夕刊はその穴にいつも差し込まれていたことをテーマにしている。