アルメ時代33 雨の形 | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

アルメ時代33 雨の形  谷内修三



ワイパーが雨をぬぐっていく
消えていく気持ちを
いまなら持っていることができる
言い聞かせて
疲労のほてりを踏んでいく靴を負う
電話ボックスは溶けだしている
横顔があきらめたように直立する
見覚えがある
この時間には見覚えがある
(裏切っていくのは疲れた
肉体だろうか精神だろうか)
こめかみをガラスに押しつける
雨の角度が見える



(アルメ252 、1987年09月25日)