詩をどこで「おわり」にするか、とてもむずかしい。
岡部淳太郎「長い時間のくさはらにて」。
その前にたちどまればすべてが赦されてあるように思えた
長い歩行のすえにおとずれた長い時間のくさはらで
そこは昼も夜もなく
光も闇も ましてや罪
それに応じた報いなどというものが
あるわけもなかった
長い 長い時間だった
それを時間であると感じることもないような
長い時間のくさはらだって
そこではすべてがそよぐ
ただ沈黙のうちにあり
ただ風だけがなんどもわたり
しずかにうずくまることがあふれていた
ここが世界そのものであると
この長い時間のなかでなら
信じることができた
どこで「おわる」べきか。
「しずかにうずくまることがあふれていた」でおわってもいいかもしれない。「うずくまることがあふれていた」というのは不思議な表現であり、その不思議さのなかで時間をかかえてみたい気がする。「あふれる」が「長い」に通じるからだろうか。
でも、その後の三行があるから詩は落ち着くのかもしれない。一行目の「思えた」が「信じることができた」に変わるまでの「長い時間」が納得できるものとしてあらわれてくる。
でも、これでは中途半端? まだ書きたい?
とてもむずかしい。
二行目の末尾の「で」。これは思い切って捨てた方がいいかもしれない。その方が「くさはら」が見えてくる。「で」があると、どうしても「主役」がくさはらではなくなってしまう。
そこからまた、どこで「おわる」か、という問題が始まる。「で」があると、「くさはら」でおわることができない。書かれていない「私」が登場しないことには、落ち着かなくなる。
さて、どうします?
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