嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(64) | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

黄金の鎖

別れるのは河のそばがいい
水は去っていくが岸に他のものは静かに残る

 「水」は女、「岸に残る」のは嵯峨。
 「他のもの」と書いているのは、単に嵯峨という人間が残るというのではなく、記憶が残る。その記憶を、嵯峨は岸に残して去っていくと読むこともできる。
 「静かに」ということばが必要なのは、そう決意しながらも、まだ嵯峨のこころが騒いでいるからだろう。こころが「静かに」なるまでには、もっと時間がかかる。





*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
定価の下の「注文して製本する」のボタンを押すと購入の手続きが始まります。
私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)