報道の変化(何を報道すべきか) | 詩はどこにあるか

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報道の変化(何を報道すべきか)
       自民党憲法改正草案を読む/番外337(情報の読み方)

 
 2020年04月14日の読売新聞(西部版・14版)の31面(社会面)。

新型コロナ 国内8000人超す

 という全国の「統計」につづいて、

92人院内感染か 東京・中野

 という記事。永寿病院につづいての大規模な院内感染の可能性について書いている。その事実については、その通りなのだと思うが、ひとつ非常に気になったことがある。
 記事中に13日の東京都の感染者の数が書いてない。一覧表を見ると257人増えている。この257人は、東京都としては最大の感染者数であり、また私の記憶によれば初の200人突破だ。土曜日だったと思うが、200人寸前だった。
 院内感染も重大な問題だが、200人を超した。しかもこれまでの数より50人以上(60人近く)増えている。なぜ、問題にしないのか。そこに読者の注意を引こうとしないのか、それが疑問だ。一覧表を見ないと、実数がわからないというのはあまりにも不親切だ。
 さらに、この一覧表を見ると、不思議なことにも気づく。感染者の累計は7689人、死者の累計は155人。死者の割合は、ざっと計算して2%くらいである。この割合は、コロナが問題化してから、ほとんど変わっていない。最初のころの「情報」どおり、感染しても8割は軽症、重症化するのは2割、死亡するのは2%といわれた「数字」そのままである。イタリア、スペイン、フランス、イギリスなどのヨーロッパでは死者は1割を超えている。あまりにもちがい過ぎる。死者「2%」という数字に合わせて、感染者、死者を統計しているような印象を持ってしまう。
 「数字(事実)」を隠そう、隠そうとしている感じがするのだ。

 「院内感染」が問題になっているが、しきりに問題になるもうひとつのテーマに「医療崩壊」がある。
 何度も書いているが、このことばに私は非常に疑問をもっている。病院の受け入れ能力を上回る患者が押し寄せて、病院が機能しなくなる。助けられる患者も助けられなくなるということを指して言うらしいのだが、それを、いま、なぜ言うのか、それが私にはわからない。
 たしかにそういうことは起きるかもしれない。
 しかし、新型コロナの感染者は「助けられる患者も助けられなくなる」という範疇(分類)には属さないのか。なぜ新型コロナの患者を「助けなければならない緊急の患者」ととらえないのか。8割が軽症だという。しかし2割は重症化し、ヨーロッパの例では1割が死んで行く。発症から死亡までの期間を私は追跡したわけではないが、2週間から、長くて4週間くらいだろう。「軽症者」が自宅療養していたら体調が急変して死亡したという例も何件も報告されている。(きのう話題になった清水建設の社員もそうだった。)こんなに急に死んでしまう病気というのは、ほかにあるのか。
 私の父は胃がんで死んだが、がんに気づいたのは末期であと3か月のいのちといわれた。手術をしたので6か月生きた。兄は肺がんで、あと3か月と言われたから約1年生きた。新型コロナに比べると、ずいぶん「のんびり」している。(もうひとりの兄は、事故で手術もできずに死んだ。母は、老衰して、長い時間をかけて死んだ。)
 胃がん、肺がん、事故、老衰と違い、この新型コロナは「感染症」である。他人にうつるのだ。病気を広げるのだ。「3密」が話題になっているが、特に「濃厚接触」しなくても、ドアのノブに触って感染が広がる、スーパーの商品パッケージにさわって感染が広がるということもあるのだ。どうやって感染するか、感染ルートが特定できないことが多いのだ。いまは、とくにそういう状態になっている。
 国民の「健康崩壊」がどんどん進み、人が次々に死んで行く。それを無視して「医療崩壊」と言ってもはじまらないだろう。感染を封じ込めるには、検査をすすめ、感染者を確実に「隔離」するしかない。さらに人が接触する機会を減らすために「外出しない」を徹底するしかない。
 だからこそ、

緊急宣言1週間/7都府県 休業要請(1面の見出し)

 ということも起きている。多くの人が、「休業補償」もどうなるかわからないのに、それに協力している。「経済崩壊(家計崩壊)」のなかで、それに協力している。いのちがいちばん大事だからだと思っているからだ。国民の多くは「健康崩壊(感染して死亡する)」か「経済崩壊(金がなくなり、食わずに死んでゆくか)」というところに追い込まれている。
 「健康崩壊(死ぬ)」さえ防げれば、いつかは「経済崩壊(貧乏)」から立ち直れるかもしれない。しかし死んでしまったら(健康崩壊したら)、経済を立て直そうにも立て直せないのだ。いのちは一回きりなのだ。
 医療現場が厳しいのは想像できるが、医療現場の人は、いま医療をしなければ新型コロナで死んでいく人がいるということを忘れないでほしい。新型コロナは、ほかの病気と違って感染者を増やしていくのだ。あっという間に感染者を増やし、あっという間に死んでいく。これを防ぐためにどうするか、それを考えないといけない。
 だいたいクルーズ船から2か月以上、医療現場の人は政府(安倍)に中国のように病院を建てろ、韓国のように徹底検査する方法を確立しろと要求してきたのか。人工呼吸器を増やせ、と要求してきたのか。そういうことをし、それでも対応できないというのなら、まだ「医療崩壊」を訴えるのはわからないでもないが、検査・治療システムを構築せずに、院内感染が起きた、「医療崩壊」が起きる、というのは、どうも素人から見ると納得できない。
 いつでもいちばんの弱者(知らずに感染し、突然症状が悪化して、治療を受けられずに死んでいく人)の立場から、ものを見ないといけないと思う。いちばんの弱者に危険を知らせる工夫が必要だと思う。
 いま、東京がどれだけ危険な状態なのか、国民一人一人が知れば、「自粛要請」などしなくても、人は仕事にいかないだろう。高校生が登校を拒否したように、会社員も「出社拒否」をするかもしれない。ストをするかもしれない。
 きょうは何人の感染がわかるのか(何人検査したのか)、そのうち経路がわかる人は何人いるのか(経路がわからない人が何人いるのか)、そういう情報は正確に公開されるべきである。そうしないと国民はどう行動していいか、わからない。
















#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


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