アルメ時代26 海の光 | 詩はどこにあるか

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26 海の光



遠い海の光
岸を打つこともなく
ぐるぐる回りつづける潮のかなしみ
それに似たものがある

わたしたちはことばを知っているが
動かすほんとうの方法は知らない
何か言おうとすれば
どうしてもそれてしまう

遠い海を迷いつづける青い色
「強い情熱をあらわす
動詞が思いつかない」
垂直に打ち寄せる波に

こころを託している女
風は沖から吹いてくる
音い光はわずかにふくらみ
水平に去ってゆく




(アルメ247 、1987年02月10日)