嵯峨信之『OB抒情歌』(1988)(63) | 詩はどこにあるか

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* (余白の多い手紙をあなたは読みふける)


 このとき、あなたは余白を読むのか、書かれている文字を読むのか。

あなたは空がもっと明るくなればいいと思つているようだ
どこまでもつづいている真っ白い空が

 「真っ白い空」というのは新しい表現である。ここに「余白」の「白」という文字が復活してきている。あなたは空を「余白」と感じているということだろう。
 逆に読んでみる。
 「余白」を「空」と感じている。その「白」が明るくなる。つまり輝きを増す。「白」は光の色なのだ。あなたは「文字以外の何か」を読んでいる。その手紙がたとえ別れの手紙であったとしても、あなたは「文字以外の何か」を読むので幸福を感じる。
 「読みふける」の「ふける」という動詞が、そう告げている。




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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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