嵯峨信之『OB抒情歌』(1988)(11) | 詩はどこにあるか

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* (わたしの掌にひとすじの川を描く)

わたしの掌にひとすじの川を描く
ふるさとの川を描く

 「川」から「ふるさと」へ、「ふるさと」から「川」へとことばは動く。川とふるさとがなじみやすいのは、日本には川が多いからだろうか。それも小さな川が。

その川の響きが
妹の墓をゆする

 「その川」の「その」は「思い出した」という意味だろう。川を思い出すことによって、妹を思い出す。川の「響き」は大きな音ではないと思うが、その「大きくない」ことが妹を呼び出すのだろう。きっと幼くして死んだ妹だ。









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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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