嵯峨信之『土地の名-人間の名』(1986)(64) | 詩はどこにあるか

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* (生でもなければ死でもない)

--ぼくの領地
詩とは
そこへ至る遠い道だ

 この詩の「遠い」は「長い」あるいは「困難な」の比喩である。
 「道」そのものが「遠い」ところにあるのではない。嵯峨はすでに「道」を歩んでいる。
 「歩く」は「至る」という動詞の中に隠れている。
 きのうの詩では「遠く(遠い)」は「遠ざかる」という動詞になった。「遠ざかる」は「去っていく」。「至る」は自分から近づいていく。
 揺れ動く青春のこころ(この詩を書いているとき、嵯峨は青春ではないが)が見える。







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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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