日を少しひろげて
おまえをやわらかに包んでみた
おまえは花よりももつとやさしく風にさわり
小さなことばを光りの上に泳がせた
「ひろげる」と「包む」。反対の動きが読者の意識を詩へと誘う。矛盾のなかに何かが生まれてくる予感がある。既に知っているものではなく、知らないものが姿をあらわすとき、そこには必ず矛盾がある。
パラダイムの変更、と言っていいかもしれない。
「やわらかな」は「やさしく」へと変化していくことで、動き始めたものを、そっと後押しする。
「さわる」は「ひろげる」が変わったものか、それとも「包む」が変わったものか。どちらもありうる。
この「不安定」を経て、動詞は「泳ぐ」へと変わっていく。
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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
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