12 水の周辺 17 | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

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12 水の周辺 17



   1
 表皮を剥ぎたい。水の肉体を見たい。指をはじきかえす弾力にさわりたい。指の腹にすいつくような、皮膚の内側にひそむ水分を思いおこさせるような、肉質に触りたい。

   2
 表皮を剥ぎたい。表皮と肉の間を走るすばやい流れをなめたい。つるんとして動きなどないように見せかけながら、舌をつつみ水を引き込む流れ、なめらかな重力に触りたい。
   3
 表皮を剥ぎたい。ぷっくらとふくれはじめるものに爪で傷をつけたい。平静な形をとる前の力をねじまげてみたい。乱れを丁寧になぞりたい。

   4
 表皮を剥ぎたい。血のように内部からにじんでくるもの、うっすらとひろがるものを手で汚したい。力まかせに掌でひろげたい。うめきに耳で触りたい。





(アルメ234 、19855年06月25日)