自民党憲法改正草案を読む/番外241(情報の読み方)
2018年10月17日の読売新聞朝刊(西部版・14版)。政治面(4面)で「我が党戦略 語る」という連載が始まった。臨時国会を前にした企画だ。一貫目は、自民党幹事長・二階。見出しに、
改憲論議 謙虚な姿勢で
と、ある。しかし、安倍のどこが謙虚なのか。
自民党のホームページには、いまだに「改憲案4項目」が自民党のホームページにも、自民党改憲推進本部のホームページにも明示されていない。明示されているのは「2012年の自民党改憲草案」だけである。「自衛隊明記」に関しては、9条2項削除案と、残したままの案がある、というのがこれまで報道されてきたことである。自民党総裁選では、安倍が残したままの案を主張し、石破が削除案を主張した。安倍が総裁選に勝ったが、だからといって自民党の案が安倍案でかたまったわけではないだろう。かたまったというのなら、明示すべきだろう。同時に、「2012年案」と同じように、「質疑問答集」のようなものも発表し、誰もが議論できるような形すべきだろう。
改憲、改憲と言いながら、なぜ、議論が広がるのを避けるのか。議論が広がるということは、賛成者が増えることもあるが、反対者が増えることもある。反対者が増えることを恐れているのだ。言い換えると、議論をさせないまま、自民党案を国会に提示し、あっというまに発議まで持っていこうとしているのだ。
「議論させない」(静かな環境を守る)というのが、安倍の一貫した、唯一の「政治手法」だ。民主主義の基本だが、独裁を目指す安倍は、この「議論」が大嫌いである。「議論」する能力がないからである。だから「質問」もあらかじめ「通告」させるという手法をとっている。「質問」に対する「答え」を官僚に作文させ、ルビ付きの文章を読み上げる。それ以外のことができない。
改憲問題について「議論させない」ために、安倍は臨時国会を前に、消費税増税について対策を発表した。目先の「割引感(?)」だけを大々的に宣伝している。キャッシュレスでの支払い、しかも半年から1年限りなのに、まるで何もかもが2%還元されるかのような大騒ぎである。この消費税問題が臨時国会で取り上げられれば、どうしても生活に密着した消費税に対する議論が多くなる。その分、改憲問題を議論を減らすことができる、という作戦である。
ということは別にして。
きょうの二階の発言で注目したのは、記事の最後の部分。「次のリーダーにふさわしいのは誰か」という質問に、こう答えている。
(総裁の連続4選を可能にする党則改正は)今は考えていないが、政治だから、分からない。
「今は考えていないが」というのは、時期がくれば考えるということである。「政治だから、分からない」というのは、その可能性の方が高いということだ。3選のために党則をかえたばかりである。ふつうなら、そういうことは「党則をかえたばかりである。そういうことはありえない」と答えるだろう。そうしないのは、すでに4選に向けて動き出しているということ。動きがあるからこそ、ここで「4選はない」と断言できないのだ。そういってしまうと、隠しているものが暴れ出すのだ。
天皇を強制生前退位させる道筋をつくった安倍は、「悠仁天皇」を誕生させるまでは、絶対に首相を辞めない。悠仁が生まれたときから、それだけを狙っている。そのために、悠仁が誕生する前後にあった「女性天皇」論議を封じ込めている。いまの「天皇-皇太子-愛子」という「天皇継承」を許さない。なんとしても「男性天皇」を貫く。男尊女卑を貫く。女性差別を貫く。「家長」がいて「家族」がある。その「理想形」が「天皇家」である。「家長」は男でなければならない。そして、その「理想形」を政治に当てはめたのが「安倍独裁」である。「天皇継承」で女性を排除し、男性天皇を守ることは、そのまま安倍の独裁を守ることなのだ。そのために天皇を利用しようとしている。4 選へ向けて、安倍の「天皇利用」は加速する。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
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