自民党憲法改正草案を読む/番外83(情報の読み方)
読売新聞2017年06月09日夕刊(西部版・4版)の1面の見出し。
「加計」文書 再調査へ/文科相表明 聞き取り対象拡大
「総理の意向」をめぐる文書について、文科省は「確認できない」と言っていた。再調査はしないと主張し続けてきた。菅は、「怪文書」と断定し、前川前文部次官の人格攻撃までしていた。
それが突然の方針転換である。
なぜだろう。世論の声に抗しきれなくなったのか。2社面には
「国民の声」受け一転
という見出しがある。
私は疑り深い人間であるから、こういう「方針転換」は信じない。「裏」があると勘繰る。
気になったのが、再調査を決めた松野文科相の次の発言である。
「総理からは徹底した調査を速やかに行うよう指示があった」
安倍が「徹底した調査」を指示した。しかも、「速やかに行うように」。
どうもおかしい。「徹底した調査」は「速やかに」はできない。どうしても時間がかかる。ほんとうに「徹底した調査」をするのならば、まず文部省(職員)が調査するのではなく、第三者が調査すべきだろう。調査対象も、文部省の職員全員のパソコン、サーバーを調べないといけない。単に文書が残っているかだけではなく、「削除」した形跡がないか調べないといけない。パソコンだけではなく「紙(プリントアウトしたもの)」も調べないといけないし、個人のパソコンやメールも調べる必要が出てくる。「徹底」とは、そういうことだろう。
そして、この「徹底」は「速やか」とは相いれない。
ポイントここである。
「速やかに」は「嘘」である。「時間をかけろ」と安倍は言っているのである。
国会審議は、とどこおっている。09日は「天皇の生前退位特例法」が可決されたが、「共謀罪」の審議は「加計学園」をめぐる「文書」のせいで、なかなか進まない。何度も質問が繰り返される。
これをストップさせる(加計学園問題を審議させない)ためには、どうすればいいか。簡単である。「調査中」という状態をつくればいい。
きっと、月曜日からの国会審議では、「その問題については、文部省が調査中である。調査結果が出るまで、その問題については答えられない」という答弁が展開されるだろう。
「口封じ(質問封じ)」のための「方便」である。
安倍の政策は、いかに「沈黙」をつくりだすかということで一貫している。「沈黙」し、押し切る。説明などしない。
2社面には、文部省の職員の声が載っている。
「これまでの対応を一転させたのには驚いた」
そう、みんなが驚いたはずだ。そして、驚くとき、人は一瞬何が起きたのかわからなくなる。衝撃で、何か、大事なものを見落とす。
「徹底調査」は「罠」である。「速やかに」というのは、「速やかに着手する」ということに過ぎない。結論はできるかぎり遅く、言い換えると国民が忘れてしまうまで、ほうっておけ、という指示なのである。安倍の指示は。
「共謀罪」が強硬可決されたときは、そのショックで、もうみんな「加計学園」のことを忘れている。忘れてしまう。それを狙っている。
民進党などは、どこか「共謀罪」を成立させないために「加計学園」問題を追及するというような「論理の混同」があるから、この安倍の作戦に「コロリ」と騙されてしまうだろう。
このままでは、国会を延長させずに、「共謀罪」を成立させるという安倍の作戦が成功する。さらにその勢いで東京都議会選を突破するつもりなのである。
昨年の参院選の「沈黙作戦(選挙報道をさせない作戦)」が顕著だったが、誰が安倍のブレーンかしらないが、この「沈黙活用作戦」は、非常に手が込んでいる。いままでは誰も気がつかなかった方法である。
#安倍を許さない #憲法改正 #加計学園