内政問題? | 詩はどこにあるか

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内政問題?
               自民党憲法改正草案を読む/番外71(情報の読み方)

 2017年02月12日読売新聞(西部版・14版)は「日米首脳会談」一色。どんな成果があったのか、よくわからない。1面に、

「尖閣に安保」明記

 という見出しが躍っているが、私はどうしても、それでは「北方四島は?」と思ってしまう。いまは無人島の尖閣諸島と違い、北方四島は実際にロシア人が住んでいる。これは、このまま放置? 日米安保条約の適用対象外? 北方四島を「棚上げ」にした安保条約なら、尖閣諸島も棚上げにしておいた方がいいのでは、と私は思う。
 外交とはもともと「二枚舌」でおこなうものなのかもしれないが、「二枚舌」の先に中国敵視の世界観があるようで、どうも落ち着かない。

 気になったのは「日米首脳共同記者会見」の次の部分。

質問 昨日の連邦控訴裁判所の判断について質問したい。今回の判断は大統領の権限行使を再考することにつながるのか。今後、どのように対応するつもりか。
首相 我々は世界において、難民問題、あるいはテロの問題に協力して取り組んでいかなければならないと考えているし、日本は日本の役割を今までも果たしてきた。これからも世界とともに協力し、日本の果たすべき役割、責任を果たしていきたいと考えている。
 それぞれの国々が行っている入国管理、難民対策、移民政策については、その国の内政問題なので、コメントは差し控えたい。

 「入国管理、難民対策、移民政策」は「内政問題」と言い切れるのか。どの問題も、最低二国間にまたがる問題である。ひとつの国の問題ではない。二国間にまたがるなら国際問題である。
 さらに国、宗教を基準にして、「入国管理」が行われるならば、それは「人権問題」である。「人権問題」は「内政問題」ではない。「国境」を超える、人間社会全体の問題である。世界はどうあるべきか、という「思想」の問題である。
 「人権感覚」のない安倍は、平気で日本国内において人権抑圧をはじめるだろう。「テロ等組織犯罪準備罪」の新設は、その第一歩だ。諸外国から日本の人権弾圧を揉んだに漉されたら、安倍はきっと「内政問題だ」と言うにちがいない。
 そういうことを感じさせる。

 だいたいアメリカは、アメリカ国外で難民を生み出す行動をしている。外国の「内政」に干渉している。それもアメリカとは隣接してない遠い国である。それが原因で難民を生み出し、またテロも誘発している。「入国管理、難民対策、移民政策」はアメリカの「内政問題」ではない。むしろ「外交問題」だ。
 たまたま今回の質問は「入国管理」についてのものだが、「移民政策」に目を転じれば、それは日本にも響いてくる「外交問題」である。トランプはメキシコ国境に壁をつくろうとしている。アメリカとメキシコのあいだには「車産業」をめぐる「経済問題」があり、そこには日本の企業も深く関係している。ほとんど「日米経済問題」の様相をみせている。だからこそ、安倍はトヨタの社長とも会談したのではないのか。
 「入国管理」は、そのまま「経済管理」(貿易管理)へと流用できる。日本からの輸出がアメリカの経済を破壊している。高い関税をかけることで日本からの輸入を減らせ、という「政策」を打ち出したとき、安倍は、「どのような関税を設定し、自国の経済を守るかは、その国の内政問題なのでコメントを差し控えたい」と言うのか。アメリカが「アメリカ・ファースト」を実現するためにどんな政策をとろうと、それはアメリカの内政問題と言い切るのなら、それはそれでいい。しかし、安倍はそんなことはしない。アメリカの要求のままに「経済政策」をのんでいたら、今度は日本の経済界からそっぽをむかれる。「企業献金」がはいってこなくなる。
 安倍はここでも得意の「二枚舌」を発揮している。