千人のオフィーリア(メモ6) | 詩はどこにあるか

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千人のオフィーリア(メモ6)

かつてのオフィーリアが今のオフィーリアなら、
やがてオフィーリアでなくなるオフィーリアはどこを流れる?

醜聞は風のごとく吹き寄り、風のごとく吹き去る。
水は流れ寄り、水は流れ去る。
              (何のごとく?)

               これから男の私が演じるのは
九百九十九人目のオフィーリア。
男ゆえに不作法に女の傷を逆撫でし、
男ゆえに寝取られハムレットを演じつつ、泣き言わめき、わがままに、
そして繊細に、千人目のオフィーリアという反論を読者にまかせ、

では。

流されながら流れてゆけないオフィーリア、
流されながら流れを遡るオフィーリア、
貯水槽にあつまり密談するオフィーリア、
水道管で分配されることばのオフィーリア、
排水管を通り下水を揺するオフへーリア、
見えない水の、見えない流れの、見えないオフィーリア、