「カーテン」は光をさえぎるもの、光を弱めるものという定義は、詩では無効である。さえぎることによって逆に光の存在を強調する。風にあおられて揺らめくのは布か、光か。あるいは、その光がつくりだす胸の影か。あるいは、その影がつくりだす胸の形か。--それは「薄青い布のソファ」の上に半分かかっていた。「薄青い」という色のせいだろうか、「窓からヨットが入ってきて、部屋の中央で向きを変えた。」
その動きと、本のページが風にあおられ、物語は突然飛躍する。「鉛筆で描かれた裸婦の輪郭の周辺で、水彩絵の具は線をはみ出たり、そこに届かなかったりした。」その結果、白い空白が光よりも「純粋に」輝いた。指は「悲しみ」となって、やわらかなカーブを「去り」、「記憶だけが」絵筆の動きを真似る。
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