展覧会の絵 | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

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展覧会の絵

三階の窓から身を乗り出して一階の庭をみおろしたとき、展覧会で見た「絵」がよみがえり、「テーブル」ということばになった。その上には「広げられた新聞紙」ということばがあり、「無防備」ということばが四階の窓から降ってきたような気がした。

だれが、見ているのか。

背後で「彼女の髪のぬれた匂い」ということばが、ドライヤーの音に隠れて動いていた。「無防備」とは、そういう意味であったような気がする。「鏡の中の女は、鏡の外の左右反対の女を見ている」ということばの方が「無防備」の定義にふさわしいが、それは次の詩に書くために考えたことだ。

だれが、見ているのか。

「展覧会の絵」には、一階の庭の向こう、樹の奥に家の窓があった。「昼間隠れていた」ということばは、「明かりが窓の形を教えてくれる」という警告にかわり、それままた別の「無防備」を指摘する。星を見るふりをして「深い井戸をのぞく」ように空を見るが、「絵」がそうであったように、そこには「星」ということばは、なかった。

だれが、見てしまったのか。





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