「積み重ねられた本」ということばがあった。
「積み重ねられた本のあいだに挟まった手紙」ということばはそのあとにやって来たのに芝居の主人公のようにスポットライトを要求した。
「鍵を壊された引き出し」ということばがあった。
傍線で消して、「倒れた椅子の形を残して薄くひろがるほこり」ということばに書き換えようとするこころみがあったような気がした。
「女が、別の女に似てくると感じた」ということば書かれなかったが存在した。
「タンスの内側の鏡」というセンチメンタルなことばがあった。
「見る角度によって空っぽの闇を映した」ということばになったり、
推敲しあぐねて、丸められた紙といっしょに捨てられたりした。
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