椅子の上に積んだ本は崩れながら重なっていた。
はみ出した紐栞がアリステア・マクラウドの表紙に触れている。
(父の描き方が、私には哀しい。
背もたれにほうり出すようにかけられたセーターの、
袖口は折り返されている、
ということばを本のなかに返したいが、それはほんとうに書かれていたか。
少し離れたところにあるソファの半分はへこんだままである。
スタンドの光が歪んだたわみに影をつくるのをためらっている。
姉が運んできたコーヒーには砂糖が入っていたが、
私は何も言わずに飲んだ、あの日。
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