手紙、 | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

詩の感想・批評や映画の感想、美術の感想、政治問題などを思いつくままに書いています。

手紙、

秋が過ぎていく間、引き出しのなかで眠っていた手紙は
冬を思いながらどんな悲しみを遠ざけようとしているのか。

青いインクで書かれているあの場所では、
本を何冊かかかえてきた男が夜についての文章をあつめていた。

「暗さを映して光る川のそばをとおる時、あの故郷の川から
どうやってこの街までやってきたのか思い出せない。」

折りたたまれた紙の谷間で文字がかすれ
罫線は、もう歩くことのない道のようにどこまでも真っ直ぐだ。