手紙、手紙、秋が過ぎていく間、引き出しのなかで眠っていた手紙は冬を思いながらどんな悲しみを遠ざけようとしているのか。青いインクで書かれているあの場所では、本を何冊かかかえてきた男が夜についての文章をあつめていた。「暗さを映して光る川のそばをとおる時、あの故郷の川からどうやってこの街までやってきたのか思い出せない。」折りたたまれた紙の谷間で文字がかすれ罫線は、もう歩くことのない道のようにどこまでも真っ直ぐだ。