映画館のロビーでチラシを見ていると | 詩はどこにあるか

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映画館のロビーでチラシを見ていると

映画館のロビーでチラシを見ていると、そのひとは近づいてきて、
「新しいチラシを見るとたちまち
これから見る映画よりもチラシの映画を先に見たくなる」
とはしゃいだ声で私に言うのである。

このことを詩に書くには四行目を別なことばにしないといけないのだが、
「どうして先に見ることができないんだろう、
時間は、未来だけどうして律儀にしかやってこれないのだろう」
私はそのひとに答えてしまって、答えながら
自分の声がそのひとを無視しているような響きに悲しくなった。
過去は、そのひとと最初にあった書店も、
そのひとと別れることにした公園も順序を入れ換えながら何度もやって来るのに。





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